2019年9月14日更新(2019年9月22日ページ移動)
■9月14日(土) 西村センセイ、住宅街の完全予約制のケーキ屋さんの看板で、妄想を逞しくする
昨日お伝えするつもりだった話題。
大学近辺つまり、センセイの徒歩での行動範囲内で先日、見慣れないものを見つけました。ここはまったくの住宅街。そこに看板が立っていたのです。「完全予約制 ケーキ販売 15センチから承ります・・・Patisserie[パティスリー]FukuFuku」。
看板の中央部には上から順に、“Cake”[ケーキ]、“Tart”[タルト]、そして“Montblanc”[モンブラン=直訳すると「白い山」]が、解説入りで描かれています。画も上手だと思いますが、説明文の内容は明らかに、その道の方のもの。
でもここは住宅街だし、背後の建物はごく普通のお宅。センセイは毎月1回、この場所を歩いていますが、入口の柱に縛り付けられたこの看板を眼にするのは初めて。
気になって、後から調べてみました。まず見つけたのは、「金沢いしかわ応援団!」のあるページ。7月中旬に、このお店を文字通り「応援」すべく、お店のFacebookの開設を手伝ったとのこと。
2ヶ月くらい前から存在していたんですね。どうやら、ケーキを販売しているだけでなく、ケーキ作りの教室も開いているらしい。ただし、一般的な店舗ではなく、普通のお宅で、です。
ファンも多いようです。最初は、趣味が高じて...かな、と思ったのですが、恐らくそうではない。もともと修行した後に菓子店に勤務していらっしゃった女性が結婚。生活がある程度落ち着いたところで...。
どうでしょう。残念ながらセンセイは甘党ではないので、自分の眼で確認することはできそうにありません。
■9月13日(金) 両立は、難しい... ──今日は十五夜。そして、そして久しぶりに愛でる中秋の名月──
思うように進まない...。もちろん仕事が、です。
センセイは子供の頃から、勉強や仕事を計画的に進めることが苦手。それでも学内会議での資料作成などは、その会議が目の前に迫っているので何とかするのです。でも、そうでないものは...。
トホホ。当初は、仕事に区切りをつけて、今日の夕方に帰宅するつもりだったのです。でも、「宿題」の量から早めに断念。今日は金沢に留まって仕事に専念し、その代わり明朝、交通量が少ない時間帯に移動することにしていました。
しかし現在の状況では、それすらかなわない。明日の午前中、今度こそ──全然説得力がない──集中して働くことにします。段取りの関係で、暗くなってから校舎の外へ。あれ?!
東の空、富樫の山々の上に、黄色く、暑苦しく、そして煌々(こうこう)と輝くものが。もちろん月。それも満月です。今日は十五夜、そして中秋の名月だった...。
知っていたのですが、目の前のバタバタに追われて失念していました。晴れた日に、中秋の名月を見るのは数年ぶりのはず。研究室へ戻ってカメラを持ち出し、建物の3階から、厚生棟の上にある月を撮影したのが写真。
左下の楕円形の物体はパラボラアンテナ。月との間に存在する緑色のものは光学系のゴースト──たぶん斜め方向に反転している──です。その上のゴチャゴチャしたものは、地上デジタル放送受信用UHFアンテナ。最上部の風見鶏のようなものは風向風速計。つまり現代版風見鶏。月の右側の棒状のものは避雷針。
その右側、煙のように見えるのは雲です。肉眼だと地上だけでなく、背景の夜空、月のクレーターや海、山を含めて全てがクリアーに見えるのです。でもデジタル/銀塩写真ではそれを上手く収めることができません。太陽からすると、地球も月も等距離。
照らされ方も同じ。だから月は、ホントはとても明るい。月の表面は比較的細かい粒子で覆われているため、満月の前後は猛烈に特に明るく輝きます。すぐに理解できない人は、月がパチンコ玉のような、一つの、巨大金属球だった場合を考えてみてください。
その場合は何と、太陽からの光線を1カ所──つまり、1点だけ──で反射するので、明るさは変わらない。月の通り道(「白道(はくどう)」)は太陽のそれ(「黄道(こうどう)」)に割と近く、ともに夏は高く、冬は低い場所にあります。夏の太陽が空の上から容赦なく照りつけ、冬は低い場所から部屋の奥深くまで射し込む理由。
だから逆に、夏の月は空の低い場所で暑苦しそうに迫り、冬は高い位置から世界を見渡すように、白く照らす。でも右上の写真、月はただのスポットライトのようなもの。と言うわけで今日は特別に、200mmで撮影した今晩の月(別ウィンドウ)。右上の写真は縮小していますが、こちらは原寸のまま。ほぼ満月。
そして色合いは、こちらの方が実際に近い。しかしよく観察すると、背後の太陽、地球、そして月が一直線に並ぶ、そのほんの少し前の状態。この時点での月齢は、14.6位だと思う。今日は大気が安定していたためでしょう、猛烈な高温で大気の対流が激しかった昨夏より良く撮れています。
センセイの腕ではなく、カメラの性能ゆえでので、念のため。
■9月12日(木) 最新の工法は、組み立ててから組み上げる?! ──アパートの新築工事が進んでいます──
日本建築学会の特別シンポジウムから始まって、久しぶりの学会出張、そして今週のシンポジウムと行事が続きました。今日あたりからやっと、少なくとも行動パターンだけは平常に戻ったというのが正直なところ。
ただし相手のある宿題が山のように溜まったままなのですが...。というわけで、夏休み明けにセンセイが大学近辺で気づいた変化の続きを。
自動車で出勤する場合、センセイは大学北東にある門から構内に入ります。門は高橋川沿いにあるのですが、対岸の、少し離れた場所で大型のクレーンが何日か作業していました。
場所はまさに、老朽化したアパートを6月に解体した場所。所用でコンビニへ行ったついでに、アパート新築工事が進んでいると思われる現場を訪れてみました。川沿いの公園から撮影したのが写真。
解体時とほぼ同じ場所から見ています。敷地の奥で、凹を組み合わせたような複雑な形状のアパートを建設中で、既に2階まで組み上がっています。完成予想図によると、手前は広い駐車場になるらしい。
驚いたのが、その組み立て工法です。旗の背後の、将来駐車場になる場所で、大型クレーンが大きな構造物を人間の頭の高さくらいまで釣り上げ、作業員がネジを締めています。ポイントはその構造物。
何と、アパートの形そのもの。つまり部材を順に釣り上げて建物を組み立てるのではなく、建物全体──この場合は2階天井兼3階床と、3階の柱──を地上で組み立て、それを2階の上に置いて、一気に組み上げる、ということのようです。なるほど。
初めて目にしました。拙宅を新築する時もそうでしたが、クレーンなどの重機の運用はコストがかかります。ダラダラと少しずつ組み立てるのではなく、リソースを集中投下してメリハリをつける。
これが最新の工法のようです。
■9月11日(水) 法律上は、これも「鉄道」 ──高尾山のケーブルカーに乗車しました──
颱風15号で、文字通り吹っ飛んでしまっていた鉄道ネタを。
お伝えしたように先週末の学会は3日間に渡って開催されました。学会全体の情報交換会(懇親会)は3日目の晩に、学内の食堂で開催されました。センセイら役員が食事の配膳をする(!!)という、実にアットホームな会。
いろいろな意味で盛り上がりました。初日は午前中に役員会(理事会)があったので、理事の多くが参集。この機会に、会場校の理事が音頭を取り、内輪の慰労会を開催してくださりました。(費用は私費)
会場は大学最寄りの八王子駅前などではなく、10km弱離れた高尾山(たかおざん)のビアホール「高尾山ビアマウント」。センセイは都内、それも割と近くに6年間住んでおり、高尾山の名前は良く耳にしていました。
でも、実際に訪れたことはないので、どんな場所かイメージが湧きません。初日のプログラムが終了すると、ジャンボタクシーに分乗して、とにかく出発。途中で、ケーブルカー(写真)に乗ると教えていただきました。京王高尾線の終点「高尾山口」駅脇を通り、ケーブルカーの駅へ。
ちょうど上りが発車するところだったので、皆で車両に乗り込みます。実は、ケーブルカーは法律(鉄道事業法)に定められた「鉄道」(一部遊園地などの例外あり)、というわけで意図せず、鉄分補給となりました。写真は乗車時に撮影したもの。
2本のレール──1本は手摺りの陰──を確認することができます。出発時は見落としたのですが、終点高尾山駅で下車する時に車体を、山側の非常に太いケーブル1本だけで牽引していることを知りました。ロープウェイやリフトのようにケーブルが輪になっているのかと思っていたのです。
後で写真を確認すると確かに、谷側の車体下部にケーブルは存在しない。センセイは前向きの座席に着席したのですが、これが、出発時はかなり前のめり。ただしそれが徐々に普通の角度になり、到着前は逆に仰け反るような格好に。
座席の車体に対する角度は固定されていますが、途中から勾配がきつくなるため、こうなるんですね。最大斜度(「最急勾配」)は31度18分。国内最高の急勾配だそうです。数字だけを見ると「大したことない」と思われるかもしれません。でもスキーなら、「真っ逆さまに落ちる」感覚。
現在のセンセイは、滑ることができない。
終点から急な坂を登って、「高尾山ビアマウント」到着。幹事は日没を楽しんでいただきたかったようですが、残念ながら間に合いませんでした。
その代わりと言っては何ですが、眼下に多摩地方(一部埼玉県および神奈川県)を一望することができます。まだ明かりのある風景が刻々と暗くなり、7時過ぎには写真の「1000万ドルの夜景」。気がつくと南南西の空、やや低い場所に半月。たぶん月齢6日。
バレてしまった...。2時間ほどお酒/ソフトドリンクと食事、そして会話を楽しみます。下界に戻ると、皆で京王「高尾山口」駅まで徒歩で移動し、駅でひとまず解散。
センセイらは隣の高尾駅でJR中央線に乗り換え、八王子駅へ。創価大学の幹事、そして関係者の皆様、大変お世話になりました。
■9月10日(火) センセイは、へそ曲がり ──地上がダメなら...。こっち方向が混んでいるのなら...──
昨朝センセイが目指したのは、慶應義塾大学日吉キャンパス。(神奈川県横浜市)
御茶ノ水から日吉までなら、移動経路はいくつも考えられます。センセイがもともと考えていたのは、JRで渋谷まで出て、東急東横線に乗車する方法。東京で暮らしていた時に、横浜方面へ行く際に何度も利用していました。
でも、ふと思い出したことが。渋谷駅は数年前に大改築され、東横線は、以前のような地上の頭端式ではなくなっているはず。地下深くのプラットフォームを使うと聞いています。「お上りさん」のセンセイには敷居が高い。
そこで目黒駅で東急目黒線に乗ることにしていたのです。でも昨朝のホテル出発の時点で、山手線は10時過ぎに運転を再開したものの、総武線緩行(各駅停車)など近隣のJR線は運転見合わせが続いていました。つまり皆が山手線に集中する。実際、池袋駅などで入場規制を実施しているとの情報が入っていました。
地上がダメなら、地下がある。都心での移動は、地下鉄の使い方がキモなのです。ただし地下鉄が、混乱しつつも運行中であることもまた、広く知られています。朝8時〜9時頃は人々が地下鉄に集中して大変だったようです。
さて、どうする。御茶ノ水からなら地下鉄丸ノ内線で、都心とは逆方向の後楽園駅へ下り、そこで地下鉄南北線に乗り換えれば目黒駅へ行くことができます。しかも各駅停車ながら、電車はそのまま目黒線へ乗り入れ。
地下鉄の混雑がピークを越えた(らしい)ことを確認してから、行動開始。ただし丸ノ内線には乗らず、徒歩で後楽園駅を目指します。実は両駅の距離は1km程度。都心はどこでもそうなのですが、最後の最後は徒歩が一番確実。
東京は、坂の街(あまり知られていないけど)。汗をかきながら後楽園駅にたどり着きました。地下鉄後楽園駅は総武線水道橋駅の北側にあります。ふと、黄色い帯の電車、つまり総武線緩行が運転を再開したのです。ただし遠目だったので、混雑の様子はわかりませんでした。
地下深くのホームへ下りると、まさに日吉駅行きの各駅停車が到着するところ。もちろん乗車。混雑を覚悟していたのですが、車内は、平日のこの時間帯に相応しい混み具合。センセイは次の駅で着席することができました。ただし運行は混乱状況が続いています。
途中駅で急行列車に接続するはずで、センセイもホームに並んだのですが、突然キャンセル。皆で元の車両に戻り、約2時間かけて日吉駅到着。会場に入ったのは開会10分前。ただしセンセイはここでプログラムを30分遅らせるという通知に接しました。ま、いいんですけど。サラリーマンとしての義務は果たしたし。
主催されたK先生を含めて、あちこちに知り合いが。シンポジウムの内容は、素晴らしいの一言。企画された慶応のK先生には、まったく頭が上がりません。特に、関係者が誰も知らなかった、近畿大学における実践報告に接することができたことは倖いです。
慶應義塾大学の教養教育における自然科学教育からも学ぶべきものがあります。深謝、深謝。これで、颱風さえ来なかったら...。
■9月9日(月) 猛烈な風雨は過ぎ去れど、交通の大混乱が続く東京で、センセイは...
写真は本日未明(3:30頃)、宿泊先のホテル7階から窓の外を撮影したもの...ですが、何だかよく分からない。
センセイは約15年ぶりに、私立学校関係者向けのホテルに宿泊しています。昨夕は前任校の元同僚と神田神保町で飲みました。ただし早めに切り上げ。元同僚に翌朝の予定があったことに加えて、颱風15号が接近しているからです。
お伝えしたように、都内は昨日午後から不安定な天気。それでもセンセイがホテルに戻る頃は晴れていたのです。しかし上空は、明らかに異常な緊張感。最寄りのコンビニでサラダとビール、そしてエクアドル産のバナナを買います。実はこれまでの経験から、翌日午前中の籠城を覚悟していたのです。
翌日、つまり今日は午後から慶応義塾大学日吉校舎で、センセイも関係するシンポジウムが開かれることになっています。サラリーマンなので、颱風が来ようが槍が降ろうが、所定の時刻までに会場に到着しなければならない。
日付が替わるころに就寝。空の緊張感は増して風雨は強くなっていたものの、それでもまだ、最後の一線を越えてはいませんでした。しかしその約3時間後、様子は一変。
窓の下に見えるのは、片側3車線の本郷通り。道路の反対側、灯りが点いているビルは東京医科歯科大学。窓および窓の外は尋常ではない音を立てています。雨が窓ガラスにへばり付き、映像が歪んでいます。
猛烈な風雨です。見えている範囲内で、街路樹は倒れたり傾いたりしていませんでしたが、銀杏(いちょう)の葉は粉々になり、窓に断片がくっついています。繰り返しになりますが、ここは大きなビルの7階。
後でアメダスの記録を確認したところ、この頃に都心(気象庁)で記録した最大瞬間風速は、31.4m/s(北北東)。この時点でセンセイにできることはないので、ひとまず眠り、6時過ぎに起床。
昨日の予想では少なくとも首都圏に関する限り、台風通過後、天気は急速に回復するとの見込みだったのです。しかし実際には降雨こそないものの、強い風が収まらない。公共交通機関はというと、大混乱が続いています。
JRの場合、主な路線は8時頃に運転再開予定でした。しかし倒木や施設の被害が次々と見つかり、運転再開時刻は次々と後ろ倒し。目安とはいえ、再開見込み情報を信じて、通勤通学客がターミナル駅に集中しつつあることがわかります。JR山手線の場合、運転を開始できたのは10時過ぎ。
各駅は入場規制など、相当悲惨な事態に陥っていたはず。(実際、その通りだった)可能な限り混雑を回避しつつ、可能な限り、出張命令通りに遂行する手段を考えます。10時半、つまりシンポジウム開始まで2時間半という早めの時点で、センセイは宿所を発ちました。通常なら、公共交通機関を利用した所要時間は1時間ちょっと。
されど、ターミナル駅などの現場は、阿鼻叫喚(あびきょうかん)の混乱状況(のはず)。で、センセイが向かったのは...。
■9月8日(日) 都心は、嵐の前のアビイ・ロード ――学会は2年連続で颱風に振り回されました――
学会は、最終日。
今日も寝不足気味で、血圧はいつもより高いのですが、聴いてみたいセッションや発表があります。身支度を整え、ホテルのチェックアウトを済ませます。バス停に接近すると、まさに創価大学行きのバスが到着するところ。
椎間板ヘルニアの障害が残る左足を説得して少し急ぎ、無事、最後に乗車。ふと、最前列の男性の後ろ姿に、既視感(deja-vu)。[デジャヴュ。本来はアクサンおよびアクサン・グラーブがつく]
注意してみると、姿形だけでなく、微妙な動きにも見覚えが。元同僚で、現在は長野県内の大学に勤務するA先生に違いありません。正門からの長い坂の途中で彼もセンセイに気づきました。
こちらが遅いので、追いつけなかったのです。午前中はA先生とともにあるセッションに参加したのですが、開始時に司会から案内が。颱風が近づいているため、一部のプログラムを中止するとのこと。
昨年に引き続き、学会は颱風に振り回されます。午前中は好天だったのですが、お昼過ぎには曇ったかと思うと、急に強い雨。ただし一時的でしたが。それでも全プログラムに参加。終了後は関係者にお礼を述べつつ、参加者みんなが競うような格好でバス停へ。
その頃は晴れていたのですが、八王子駅到着時は、相当酷い雨。バスで一緒だった関係者にお別れをして、ホテルで荷物を受け取り、再び八王子駅に戻ります。センセイの今日の目的地は御茶ノ水駅前のホテル。
夕方、知り合いと2年ぶりに再会するのです。待ち合わせ場所は地下鉄神保町駅。御茶ノ水付近からだと適当な交通手段がないので、明大通りを下ります。いつもと違う雰囲気に立ち止まり、撮影したのが写真。自動車がほとんど見当たらない。
考えてみると、まず、今日は日曜日。学生街であり、坂の下は古書店街。他方でこの地区は、ビジネス街という面も持ちます。つまり今日は休業日。加えて、被害が心配される颱風が接近しています。
ところで、深い思慮なしに撮影した写真を読み直すと、まるで、ビートルズのアルバム「アビイ・ロード(Abbey Road)」のようだ。