2005年10月1日更新(2005年10月10日ページ移動。2011年5月4日写真削除)
■10月1日(土) プレートテクトニクスと新潟県中越地震 ──高校の説明会に参加してみました──
自宅近くの高校の学校説明会があるというので参加してみました。
とはいっても、勤務を終えてから、それも今日はイレギュラーな行事を終えてから自宅へ移動したため、途中からの参加となりました。
メインの講演は半分くらいしか聴くことができませんでした。前任校で大学入試を担当していた時に良くわかったのですが、新潟県は隣接県などと比べると土地も広いし、農業生産高も高いので、あまりあくせく働かなくても何とかなります。
要するに豊かな県なのですが、これは善し悪し両面があります。でも隣接県のいくつかはそうではなく、高校の先生はホンネで「私たちが子供に残せるのは教育しかない」と仰っていました。
だから全国に名だたる教育県になったのですね。新潟県にはない発想です。センセイが住む柏崎市は、中越(長岡市など)と上越(旧高田・旧直江津市など)の境界にある狭い地域です。
昔はそれなりに栄えた場所で、その高校も有名な進学校だったのですが、人口の減少と、学区の弾力的な運用──優秀な生徒は近隣の有名校に流れる──と、そして市内に中高一貫の登場で、その地位が危うくなっていました。
そこで今回の説明会となったわけです。会場にはかなりの保護者と小中児童・生徒が入っていました。
講師──センセイも長年おつきあいした受験産業の人──の話は、ごく一般的な保護者向けの当たり障りのない話で、でもそれなりに楽しめました。
いよいよ高校の進路担当の話となったのですが......これが????
要するに、先が見えない。
「こうします」、「ああしたい」と目先の戦術(tactics)については語るのですが、その先の戦略(strategy)には全く触れない。
何を目指しているのかがさっぱりわからない。
このページをご覧の方はお分かりいただけると思いますが、今起きていることは一種の地殻変動、プレートテクトニクスみたいなものです。
それが関東大震災や阪神淡路大震災を起こしたのですが、その最後の最後、プレートの端っこに位置する新潟県で、あの中越地震が起きました。
最後のしわ寄せをどう片付けるか、という地震だったので、本震と余震の区別も付かず、いつまでも──現在も継続中──終わらない地震の連続となったのです。
でも、大きく見ればプレートテクトニクスの一部でしかありません、
新潟県中越地震を、降ってわいた災難としかとらえられないか、全地球規模の活動の一部であることを理解するか。
さすがの西村センセイも、ヤバイと思って戦略──実は可能性はきわめて厳しい──について質問したのですが、返ってきた答は戦術の話ばかり。返答は、世の中との回復不能なズレ、そのものでした。
残念ながら、センセイの質問は理解不能だったようです。
センセイはものを整理したり、捨てたりするのが下手です。自宅の書斎もアパートも、大学の研究室もどんどん書類やらわけのわからないものの山になっていきます。
家人は対照的な性格なので、ある日自宅に戻ると机の上の本や書類がすべて分類、整理されていて、いらないものは見事に捨てられています。
ある意味、たいしたものです。で、同じことは机の引き出しの中にも当てはまります。
先日、引き出しをガサガサさせていたら、写真の徽章(きしょう)が出てきました。
古ぼけた箱入りです。全体として六角形のこの徽章、新潟大学に初めて入学した時に大学から支給されたものです。(六角形は雪の結晶を表しています。)
大学生がエリートで、そして学生服を着ていた時代なら使う機会もあったでしょうが、30年近く前とはいえ、もうそんなじゃなかったので、そのまま日の目を浴びることなく引き出しの奥におさまっていたようです。
センセイの引き出しの中にはまだいろんなものがあって、工業高校の教師をしていた叔父の形見の計算尺──もちろんセンセイは使えます──とかはまだ理解できるけど、小学校に入学する時(41年前!!)にもらった1ダースの三菱鉛筆が、紙箱に納まったまま綺麗に保存されてたりすると....う〜む。
当時は高級品で、もったいないから手をつけなかったんだろうけど......ちょっと情けない。そういえば、新潟大学の徽章、2回目の入学の時にはもらわなかったなー。
金沢工大の工大祭(大学祭)が来週の週末に迫ってきました。
金沢工大では研究成果の発表を重視します。
センセイが受け持ちの1年生はまだ研究室に所属していないので、この工大祭の期間中に研究室を訪問してレポートを書きます。
授業でもその準備が進んでいます。で、帰ろうとして......あ"。
本館のロビーのような所に、ご覧の大きな物体が出現しました。
学生さんの大きさと比較すると、どれだけ大きいかが分かります。空気を入れて膨らますのでしょうが......このあとどうするんだろう?
興味津々です。それにしても、学生さんのパワーがひしひしと伝わってくるようですね。
■9月28日(水) “Junko”さん、繋がってますよぉー!!
どうも疲れが取れないので、この頃は早めに大学を引き上げます。
いつもはWindowsノートをスリープさせた状態で運ぶのですが、昨日は講義中にトラブルが起きたので、完全に終了させてから運びました。
ご存じのようにセンセイのWindowsノートは内蔵されているLANコネクタが壊れているので、LANカードを差し込んで使っています。
で、パソコンを立ち上げ、LANカードを差し込んでコントロールパネルからLANを有効にした......のですが、何だかいつもと様子が違う。よぉーく見ると、LANカードを有効にしようと思って、その上のワイヤレスネットワークを有効にしてしまっていたのです。
アパートではワイヤレスを使っていないので、オフにしようとした時、パソコンがすでにインターネットに繋がっていることに気づきました。
どうやらワイヤレスネットワークで、アパート近くの“Junko”というネットワークに繋がってしまったようなのです。
試しにYAHOO!のニュースを開くと、ご覧の通り。無断で使用する気はなかったので、切断したのですが、“Junko”ネットワークはMACアドレスの指定などの保護をせずに使用されているようです。
金沢でこんなことが起きるのなら、都内なんかで電波が行き交っている所では、滅茶苦茶なことになっているんだろうなぁー。
昨日ご紹介した『誰も読まなかったコペルニクス』、著者が世界中に存在する『天球の回転について』600冊を追いかけて、その余白の秘密を探るるという、いわばサスペンスドラマになっています。
その意味では知的な探偵もののような感じで、案外楽しむことができます。(そう読まれるなら、一般書としてもちょっと売れるかも。)その本を読み進んでいたら、サスペンスドラマには必須の若いライバルが登場しました。
その名はR.S.ウェストマン。もちろん実在の人物です。
うっかりしていたのですが、西村センセイ、ウェストマンの論文を翻訳していたのでした。
それを含む本が写真の『神と自然 ──歴史における科学とキリスト教──』です。内容はタイトルの通りなのですが古代から近代までの自然科学とキリスト教の関係を論じています。
センセイが5月に亡くなった師匠と共訳したのは、もちろんコペルニクスに関する部分です。この本、売り切れになっていたのですが、8つの出版社共同の企画で、読者の要望を集めて、最近2刷が出ました。
良かったら買って......とお願いしたいのですが、9,000円もする(!!)ので、まぁ、手に取ってみてください。ちなみに表紙は画家ウィリアム・ブレイクWilliam Blake(1757-1831)による「ニュートン」という絵です。
ニュートンが深海の底でコンパスを使いながらこの世界を幾何学的に解いているもので、ブレイクはニュートンを批判的に考えていたのですね。ここに使っている絵(そのもの)は、実は、上野の国立西洋美術館でブレイクの展覧会が開かれた際に、センセイが買い求めて師匠にプレゼントしたものです。
師匠はニュートン研究の専門家だったのです。
■9月26日(月) やられた!! ──『誰も読まなかった本』──
土曜日のこと。
家族で近くの本屋に行って、娘のお目当てのゲーム攻略本がなかったので店を出ようとしたら、新刊書のコーナーで家人に呼び止められました。
「これ、いらないの?」
何だろうと思って手に取ると、『誰も読まなかったコペルニクス』。
え"っ?!
原著はThe book nobody read(誰も読まなかった本)で、ギンガリッチというアメリカ人の科学史家が書いたものです。
『誰も読まなかった本』というのは、有名なジャーナリスト──天文学史の専門家ではない──が書いた天文学史の本に『夢遊病者たち』The Sleepwalkersというのがあって、その中で著者がコペルニクスの主著『天球の回転について』De revolutionibus orbium coelestium libri sexをそう評しているのです。
要するに、全然売れなかった、というわけです。その本はかなり売れた(日本語にも翻訳されています)ので、科学史家の間でも半ば常識になっていました。
確かに冊数はそれほど出ていない──他の本の方が売れ行きがよかった──のですが、然るべき人には渡っていたので、西村センセイ、「ホントにそうかなー」とずっと疑問に思っていました。
同じことをセンセイよりも早く、しかも実際の文献に接することができる環境で考えたのが、著者ギンガリッチ。
世界中に存在する『天球の回転について』を片っ端から調査して(!!)、本の余白への書き込み──昔は紙が貴重だったから──から、天文学者のネットワークによって、コペルニクスは良く研究されていたのだということを、この本の中で明らかにしています。センセイは20年くらい前にギンガリッチ氏に会ったことがあります。とてもエネルギッシュな人で、いつかはやり遂げるだろうなと思っていました。
それにしても、まさか日本語で読むことになるとは思いもしませんでした。早川書房から一般書の扱いで出ているのですが、ほとんど誰もその真価はわからないだろうから、売れるんだろうか。
■9月25日(日) 疑惑の縦線 ──ワイパーの修理は無料だったのですが...──
ワイパーが壊れた318iを修理してきました。結果的には無料だったのですが、事態はそんなに単純ではありませんでした。
事前に相談して、無料で修理することで決着したので、車をディーラーに持ち込んで、ワイパーを交換しました。
これで一件落着かと思ったら、メカニックに呼ばれました。
T字型のような形をしたワイパーの、その分岐部分に近い場所に、写真(黄色の円内)のような縦線があるというのです。...確かに、ある。
この線は、ワイパーを支持する腕がここで変形していることを示しています。
降雪時に雪が積もったまま無理にワイパーを動かし──女性ドライバーに多いとのこと──て、無理な力がかかったり、雪を除(の)ける際に器具で叩いたり、あるいは修理の際や窓を拭く際に無理に持ち上げたりする時につくのだそうです。
BMW車の場合、自動洗車機を使うとかなりの頻度でこの傷がつくそうな。いったんこうなると欠損したパーツに想定以上の無理な力がかかるのだそうです。センセイの318iの場合、変形は僅かで、根元の部分を交換せずにこのまま使用してかまわないそうですが。
洗車機も使ったことないし、その他の悪行も身に覚えはないのですが、こうなると(修理の時壊した場合を除き)単純にディーラーの責任とは言えなくなります。
そこで代金の支払いを申し出たのですが、最終的には無料となりました。
現実はやはりそんなに簡単じゃなかったんですね。反省。
P.S. もう一つ訂正を。
センセイの318iはランフラットタイヤではないそうです。先日ご紹介した写真の、黒いカバーの下に(!!)タイヤが隠れていました。見たのは初めてですが。
パンクさせられないなぁー。