2006年12月23日更新(2006年12月31日ページ移動。2011年5月3日一部写真削除)

──2006年12月第4週のニュース──

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12月23日(土:祝日) 西村センセイ、クリスマス“イブイブ”にいろいろ考える。

 クリスマスは明後日、イブは明晩なのですが、土曜日でしかも祝日とあって、世の中は今晩がクリスマスイブのような感じです。

 自宅近くにある工場も今日はお休みで、工場入口のツリーのデコレーションを見る人は僅か。
 この会社とクリスマスはほとんど関係ないと思うのですが、女性従業員が多いので、彼女らへの配慮なのかもしれません。

 で、西村センセイはというと、休日であるにもかかわらず、本来の業務の関係で、勤労学生の答案の採点......。

 採点し始めて、すぐに違和感を覚えました。
 仕事と学業を両立させているという、現代では稀な人たちですから、答案は勉学への熱意に満ちているのですが......どこか違う。

 原因はすぐにわかりました。
 自由記述式の答案なので、何を取り上げても良いにもかかわらず、見事なまでに同じ解答が続くのです。

 何と、誤字まで一緒!!

 前年度実施分の試験の答案が返却されていて、たぶんそれを今年度の学生が「共有」しているらしく、設問は変わっているにもかかわらず、「去年の設問への解答」も続出します!!(すべてがすべてではないので、念のため)

 これは一種のカンニングですから、それ自身責められるべきことなのですが、どうもそれ以前に本質的な問題が存在するようです。

 どうも受講生はここで、「唯一絶対の正解」があると信じて疑っていないようなのです。う〜ん。

 え"? 「正解」に達したのに、どこがいけないんだって?

 これって、「インターネットでやっと検索して正解を見つけだし、それをレポートに貼り付けてちゃんと仕上げたのに、何で先生は怒っているんだろう......」と同じなのです。(本当にわからないらしい。)

 1995年頃から関係者の間で指摘され始め、そしてここ数年は極めて顕著なのですが、これからの社会を支えるはずの知的中間層が崩壊しつつあり、意識や成績での上位層──こちらは質、量的にあまり変化はない──と下位層に二分化しつつあります。
 政府はかつて、この現状を否定しようとしていましたが、最近ではもう反論しようとしなくなりました。(だって、否定しようがないから。)

 極論すれば、この社会の底が抜けつつあるのです。

 昨晩は特急「はくたか」に乗ったので、直江津駅から各駅停車に乗り換えたのですが、遅い時間にもかかわらず列車内は帰宅する高校生でいっぱいで、ほぼ全員がケータイでのメールに終始していました。
 そしてその顔が、見事なまで同じようにボーッとしているのです。

 しっかりと流行の化粧をした女子高生、座席の上で片足だけあぐらをかくような格好──ミニスカートの下に何か着用しているので、チラリズムとは無縁──を続け、とても見られたものではありません。
 その隣では泥に汚れた靴のまま座席の上に足を投げ出しています。車内全体がこうなので、注意のしようもありません。

 ほんの少し前までは、新潟はこうじゃなかったのに。

 「親の顔が見たい!!」という場面ですが、実は、彼女らの親の世代からしてこうなのです。(子供を育てる過程でよくわかりました。)

 直江津駅では、接続列車が遅れて到着し、上越地方の拠点校、高田高校の生徒が乗りこんできたのですが、彼ら彼女らはまったく顔が違います。一目でわかります。
 だって、全然違うもん。

 日本のこれまでの高度成長は、成績云々にはかかわらず、意識のある中間層が存在したからこそなしえたもの──彼らには本当に感謝すべき──なのですが、その人達が現在第一線を引退しつつつあります。
 けれど、その後継者達を考える時、残念ながらその教育が年々難しくなっていく、というのがセンセイの実感。

 彼ら/彼女らは、自分の目で見て、自分の耳で聞いて、自分の五感を使って感じて、そして自分で考えてはいない......。

 これは、自ら望んで考えることを放棄して、「ご主人様の奴隷になります」と申し出ているようなものなのですよ。



12月22日(金) 悲しすぎる事故現場を通過しながら、1週間ぶりに自宅へ戻りました。

 先月中旬から──数え方によっては10月末から──続いていた変則的な勤務を終えて、この週末、やっと「普通に」自宅へ戻りました。

 仕事を終えてから特急電車に乗ったのですが、行程のちょうど半ばで、富山−新潟の県境を越えます。
 このあたりはきれいな海岸が続いていて、運が良ければ翡翠
(ひすい)を拾うことができます。(学生時代にこの辺の地質調査をしていた際、「川にある翡翠は採取禁止、海岸のものは可」と聞いた。)

 その美しい宮崎海岸に接して、富山県側最後の越中宮崎駅があります。無人駅で、特急電車はアッという間に通過します。

 実は先週末、この駅で4歳の女児が特急列車にはねられるという悲しい人身事故が発生しました。二つ隣の駅近くに住む母親が、この海岸に遊びに来ていて、自宅に戻るための電車に乗ろうとして起きた事故だそうです。
 地元テレビ局の続報(日本語に一部誤用がある)他によると、事故の状況は以下のようだそうです。

 越中宮崎駅は駅舎とホームが離れた構造の無人駅です。

 このような駅の場合、利用客はどうしても線路を越えなければならないので、多くの駅では跨線橋(陸橋)で線路を越えてホームに出ます。
 ただし、利用客が少ない一部の駅──例えばJR西日本なら越中宮崎駅東側の市振駅、親不知駅など──は陸橋が設置されていないので、列車通過時には危険な線路を渡ることができないように、利用客専用の遮断機を降ろして(!!)、その安全を守っています。

 ところが今回、31歳の母親は乗車するはずだった電車が近づいてきたため、設置されている陸橋を利用せずに線路を直接横断しようとし、先頭を歩いていた幼女が反対側から来た特急電車にはねられてしまったようです。

 もちろん(本当に申し訳ないけれど)、直接には母親の責任で、小さい子供を連れていれば予定通りにいかないことはいくらでもあるし、列車に遅れそうになったら、ここは諦めて、1時間に1本程度走っている次の列車にすべきだったでしょう。
 北陸本線は幹線なので、田舎にしては各駅停車の運転本数はとても多いのです。(車内はガラガラだけど。)

 しかし報道によると、線路に出られないように通り道は塞いであったのに、今回はそれが壊されていたのだそうです。たぶん陸橋の利用が面倒くさかった利用客の仕業でしょう。

 そんな利用客と(再び申し訳ないけど)母親の両方について言えることなのですが、列車という、あんな鉄のかたまりとぶつかったら......という感覚が、どうも欠如してしまっているように思えません。

 というのは、狭い大学構内、特に廊下を歩いていて、急いでいるセンセイにまるで気づかなかったり、他人の迷惑を考えることができずに入口にたむろしている人があまりに多いのです。
 あまりにも無防備だし、何よりもセンセイが恐怖を覚えるのは、その人達が自分の無防備さをまったく認識していない、ということに対してなのです。

 もし仮に、彼らが希望する会社に採用されたとして、感覚が鈍いそんな人を上司がホントに重用すると思いますか?(......と言われても、残念ながら本人にはわからないだろうけど。あ"、捨て駒として活用されるかもしれない、とは思う。)

 身体感覚は人間にとってとても重要なことで、たとえ勉強が得意じゃなくっても身体感覚が鋭ければ別な身の処し方ができると思います。でも、そのどれもが......だったら、どうすればいいのでしょう?

 ちなみに、そういう人は事態の深刻さをまったく理解できないので、その本人が、ある意味でとても幸せで、すぐに「うまく行かないのは○○[他人]のせいだ」となります。
 こういう上司を持った部下は、ホントに最悪の状況に置かれます。(言葉に、なぜかリアリティが......。)

 車窓から気をつけていたのですが、ホントにアッという間の越中宮崎駅でした。

 電車の車窓や隣を走る国道からもう何百回も見た──ただし駅に降りたことはない──越中宮崎駅なのですが、意外にも記憶に反して、駅舎とホームはかなり離れていました。(上記サイトからその様子を確認することができます)

 女児に気がついて急ブレーキをかけた特急の運転手や、事故の直接の処理にあたった車掌その他、そして乗客も大変だったのでしょうが、他の誰よりも、たぶんスローモーションのように事の推移を見届けたはずの母親の心境は、察するに余りあります。

 あまりに短すぎた彼女のご冥福をお祈りします。



12月21日(木) トナーが「空」になっても、ずっと使えるの?! ──カラー・レーザープリンターの謎──

 今日も庶民的な話ですみません。

 「科学研究費補助金」という国の補助金をいただけることになったので、今年の春、ソニーのバイオ(写真左下)を買ってもらいました。(「使わせていただいている」だけで、「センセイのものになった」わけではないので、念のため。)

 買ってもらったものにもう一つ、エプソンのレーザー・カラープリンター(写真中央)があります。
 センセイは古い人間なので、どうしてもモノクロプリンターの発想から抜けることができないのですが、もはや時代は明らかにカラー。

 使ってみるととても便利だし、出力も綺麗なので、こちらもエプソン製の、高解像度(2400dpi)モノクロ・レーザープリンターと切り替えながら活用しています。

 で、レーザー・カラープリンター、使い始めてすぐに気づいたことがあって、トナーがどんどん減ってしまう!!

 購入した時、エプソンの社員が据え付けと調整のためにわざわざ計3人もお越しになったのですが、組み立ての際に見たトナー・カートリッジが.......とても細い。

 モノクロ・レーザーとさほど違わない筐体の中に、モノクロの4倍、黒、シアン、マゼンタ、イエロー4色のメカおよびトナーを用意する必要があるわけですから、当然といえば当然なのですが。
 正直なところこの段階ですでに、だいじょうぶかなぁー、という感じ。

 心配していた通り、プリントのたびにトナーはどんどん減ってしまい、ついに上面にある液晶画面に「トナーを交換してください」表示されてしまいました。
 4色同時に減るわけでないので、ちょっと困ったことになってしまいます。(最初は、シアンが特に減っていた。)

 おまけに、どうもトナーカートリッジにはトナー量を記録したメモリがついているらしく、再起動してもリセットしても、「交換してください」の表示は変わりません。

 困ったなぁーと思って、あちこち触っていた──何と原始的な!!──ら、急に右下の画面になりました。
 どうも、「ちょっとだけなら許してあげよう」ということのようです。

 ところが出力してみると、品質にはまったく問題ありません。

 しかも実は、この状態ですでに100枚以上出力しています。
 さすがに最近は、先行して減っていたシアンのみならずマゼンタもなくなり、イエローも残り少なくなってしまいました。

 でも、それなのに出力はとても綺麗なままなのです!!

 空のはずのカートリッジに、ドラえもんの「四次元ポケット」のような、秘密の小部屋があったりして。(まさか、ね。)



12月20日(水) この時期にしては珍しく、金沢は穏やかな日が続いています。

 今日の午後に、「これを乗り切れば、後はわりと...」という仕事があって、お昼前に何とかその準備を終えました。
 残るは大量のホッチキス止めですが、これは休み時間に人海戦術でこなすことにして、気力と体力をつけるため、お昼は金沢名物「チャンカレ」へ。

 ホントに久しぶりです。(普通に頼んでも大盛りなので、とても全部は食べられませんでしたが。)

 キャンパスに戻って、空の青さに驚いて撮影したのが右の写真。(ほとんど加工していません。)

 金沢はこのところ冷たい雨の日が続き、しかも風の強い日が多かったので、太平洋側出身の学生を中心に、何だか意気消沈状態でした。
 でも今日はご覧のように晴れ上がっていて、学生も「今日晴れて良かった」などと感想を述べています。

 考えてみると、去年の今ごろは大雪で、しかも北陸地方には珍しい寒さが続いていました。
 それに比べると極楽、という感じです。

 幸い、この一ヶ月半、休み返上でがんばったので、当面の仕事にもようやく区切りがつきそうです。
 残った仕事は、今週末と冬休みを使って......。

 これで口内炎と口唇ヘルペスも何とかなるかな。



12月19日(火) チーズも汗をかくの?! ──品質管理の責任はどこへ? ──

 以前、お気に入りのチーズをご紹介したことがあります。甘くて美味しいし、個別包装で、一人暮らしのセンセイには便利だし。

 センセイは気に入るとずっと使うタイプなので、そのチーズを10個とか20個とかまとめ買いして少しずつ食べていたのですが、ある日、開封した時に「アレッ?」と違和感を覚えました。
 何だかよくわかんないまま、とにかく食べてみると、いつものお餅のようなプリプリ感がなくて、極端な話、ボロッという感じ(実際にはそこまでひどくない)。それに何だか、いつもより少しだけ酸味が強い。

 このチーズだけなんだろうと思ってその日は終わったのですが、徐々に、ちょっとだけ酸っぱいチーズの出現頻度が増して、最近はほとんどすべてが酸っぱくなってしまいました。
 改めてよぉーく観察してみると、開封直後のチーズは、全体、特に外側だった色の濃い皮のような部分が濡れています。まるでチーズが汗をかいたかのように。

 開封時に感じた違和感はこれだったんですね。

 さすがにこれはマズいと思い、メーカー──ただし原産国はオランダ──に連絡してみると、電話は受付から品質保証課に回送されて、「ちょっとした温度管理のミスで変質するんです」とのお返事。
 つまり製造ミスではなく、販売店ないしは購入後の消費者の問題だとのこと。(ただし送付してくれれば交換してもらえるとのことでした。)

 「まったくない」とは言えないけれど、どう考えても消費者の問題ではなさそうなので、販売店に連絡を取っているのですが......さて、どうなるのでしょう?



12月18日(月) PowerBook G4 12"、放送大学の講義で大活躍する。

 お伝えし忘れていましたが、放送大学の面接授業は無事に終了しました。

 「古い時代はいらない」(!!)攻撃で、一時は立ち直れないほど凹んだ西村センセイ。
 でも、すでにお伝えしたように、受講生の知的好奇心のベクトルが一致し始めると、教室はものすごい熱気に包まれまて、逆にセンセイはその勢いに圧倒されそうになります。

 所定の時刻のちょうど5分前、予定通りに講義を終えて質問を受けたのですが、すでにいろいろお答えてしているにもかかわらず、問いかけが続きます。
 ある受講生の質問に触発されて、別な方が「あのぅ、いいですかー」という具合。しかもその内容に、教えられることがたくさん、たくさんあります。もちろんこちらも「これでお答えになっていますか?」

 結局、30分くらい延長してやっと講義を終えました。

 後からいろいろ考えてみると、講義がうまくいった理由の一つに、いろいろな説明に写真のPowerBook G4 12"を使ったことがあるのかな、と思うようになりました。

 そもそも今回の講義では、昔センセイが作ったものの、現在、金沢工大の講義では使っていない資料をプロジェクターで提示する必要があったので、最初から、少なくとも部分的にはMacintoshを使うつもりでした。

 で、セッティングしている過程で、この春買ってもらったPowerBook G4 12"とても有能なので、今回はパワーポイントの提示を含めて、Windowsマシンを用いずに、すべてPowerBookだけで済ませようかと考えるようになったのです。

 PowerBookなら外部プロジェクターを繋いでパワーポイントを立ち上げればたちまち2画面モードになって、前後のスライドを確認しながらプレゼンできます。
 しかも写真のように、別なアプリケーションのファイルを提示しながら、場面に応じて簡単それらを切り替えることができます。

 結果的にこのやり方は大正解で、PowerBook G4 12"は25MB(!!)という巨大なパワーポイントのファイルに負けることなく、加えて、昔作ったたくさんの画像ファイル、あるいはパソコン・プラネタリウムなどを実演しました。(後二者はPowerBookでないと動きません。)

 受講生の皆さん──年輩の大人が多い──は圧倒されたようで、最初は怪訝そうだった視線が、みるみる憧れの眼差しに変わっていきます。

 だからMac OS 9(+OS X+Windows:詳細はこちらをご参照)が走るPowerBookは、やめられない。(ホント、家宝ものです。)



12月17日(日) 「Macやめますか、それともOS 9やめますか?」

 おぉ、刺激的なタイトルだ!!

 と言っても、これはセンセイが考えたわけではなく、最新号のMac Fan誌第二特集の副題なのです。
 恫喝
(どうかつ)だと言われたら、反論できるのかなぁー。((c)毎日コミュニケーションズ)

 内容は、安定していて使いやすい新しいMac OS Xが世に出てから数年たつにもかかわらず、今だに古いMac OS 9を使っている人に将来はないから、早く「卒業」しなさい、というもの。
 卒業できない場合は「留年」「落第」の判定が下ります。

 ずっとMac OS 9で仕事をしている西村センセイ──特に最も大事な「考える」という仕事は完全にOS 9──は、どう考えても落第生です。

 記事が念頭に置いているのは印刷業界で、この業界については、良識のある読者(=印刷業界の人)はOS Xの良さと切り替えの必要性を感じていても、納入先その他関係先の無知と無理解で卒業できない、という論法。
 したがって対処方法は、「相手を説得する」なのですが......もちろん答になっていません。
 印刷業界が古いOSを使わざるを得ないのは、一つに業界の過当競争があるのですが、こちらはあまり触れない。

 印刷業界以外のユーザーは、時代や経済に取り残された劣った人々という扱いで、例えば「クラリス・インパクト」という昔のプレゼンソフトを使っていた人には、「パワーポイントに切り替えなさい」。
 ......切り替えてもいいけど、普通ならWindows版に、でしょ? 実際、Macを諦めてWindowsに乗り換えた人は多いんだし。それに、Windowsに乗り換えても、それなりに使っているし。

 もはや、かつてのMacコミュニティー──もちろんMac OS 9以前──に存在していた助け合いや、“For the rest of us”の精神は微塵も感じられません。
 これじゃぁ、Windowsと同じじゃん!!

 センセイが、「Macやめますか、それともOS 9やめますか?」と訊ねられたら、即座に「Macやめます」とお答えします。というか、最後の日までMac OS 9をやめる日は来ないし。


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