2017年9月9日更新(2017年9月17日ページ移動。2019年5月1日写真削除)
■9月9日(土) 見たもの、見損なったもの、そして見なかったもの ──旅には準備が必要だ──
すみません、もう1日だけ名古屋ツアーのお話を。
完全にバレてしまいましたが、例によって今回の学会も仕事に劣らず鉄分補給が目的。ただしいくつかの未提出の仕事が重なり、それを抱えながら金沢を出発。
だから事前の準備がまったく不足していたのです。無事に学会を乗り切り、とにかく一泊して「特急しなの1号」に乗車。しかし押さえるべきツボを十分理解していません。関係者の方々には申し訳ないのですが、センセイにとって名古屋はご縁がやや薄い地域。
基本的な地理が必ずしも十分ではありません。例えば神領駅から大会会場の中部大学へ向かう途中、名鉄バスはしばらく東名高速道路の脇を走行します。というかそもそも、神領駅ホーム上を東名高速道路が走っています。
事前に把握していなかったので、ちょっとびっくりしました。「しなの1号」に乗りこみ、改めて神領駅や中部大学の様子を確かめていると、列車はいつの間にか山岳地帯へ。
......あ"、どこだったけなぁ。名古屋からの中央本線は多治見駅を過ぎると中央自動車道沿いに進みます。何回か乗っているので、それは知っていたのです。
この先に先日、大雨をきっかけとして不法投棄された陶器材料による土砂崩れの現場があるはずなのですが......わからない。実際は釜戸駅付近なのですが、何より準備不足だし、「しなの1号」は高速で走行するので、どこだか確認できないうちに山間部に入ってしまいました。
う〜ん、残念。少しウトウトしてしまいましたが、さすがに上松(あげまつ)駅手前の「寝覚の床」(写真中央やや右)を寝過ごすことはありませんでした。(アナウンスもある)
初めて気づいたのですが、手前(写真最下部やや左)には広場があり、看板(白い物体)が立っているんですね。それ以降は残念ながらやや注意不足に陥ったものの、姨捨(おばすて)駅からの絶景(こちらやこちら、そしてこちら)は......意識して見ませんでした(右目でちょっと見たけど)。
何度か中央線で、そしてその上を走る長野自動車道から見た場所。見飽きた──そんなことはあり得ない──のではなく、今までその絶景に心を奪われて、結果的に見損なってた場所を確認したかったのです。上、つまり高度のある方から、姨捨SA(下り、上り)、そして姨捨駅。
姨捨駅では2両編成のハイブリッド・カー(?)が待避中。車掌が車外からこちらをぼんやりと見ていました。坂道を転げ落ちるように、「しなの1号」は長野駅を目指します。でもやはり、物事をちゃんと理解しようと思ったら、心身を含めて事前の準備を整える必要があることを再確認させられたセンセイなのでした。
■9月8日(金) 10年後の「青春18きっぷ」は... ──センセイは約20年ぶりの飯山線でしっかり鉄分補給──
今日はタイトル通り、そして見たままの話題(のはず)。
今年のセンセイは学会大会の開催に直関与したわけではないないのですが、学会役員として、そして開催経験大学としての大会参加。要するに、お客様をおもてなしする立場。
それにそもそも、学会は単なるイベントを開催するのではありません。主催側としては学問上の議論をする場を提供するわけですから、誰が考えたって、知的にも体力的にも疲れる。つまり昨日のセンセイは相当疲れていたらしい。
昨日のこのページは日付その他に初歩的なミスが散見されました。気づいた方もいらっしゃると思いますが、そこはご寛恕(かんじょ)の程を。昨日はサッポロ・ビールの勢いを借りながらこのページを更新し、とにかく就寝。疲れが充分抜けない状態で、6時半頃金沢駅近くのホテルを出ます。
7時ちょうどに出発する中央線の「特急しなの1号」に乗車するためです昨晩の雨で少しムシムシする中を長野行の「特急しなの1号」が到着。写真は先頭のグリーン車。
今日の運転士は見習い中の女性で、男性指導員がついていました。運転はとても丁寧。運転士によってかなり違うのです。実は学会が開かれた中部大学は中央線沿いにあります。つまりセンセイは大会(+理事会)期間中、名古屋と神領駅を数往復しています。
神領車両区や中部大学を左手に383系振り子特急電車は快走します。沿線のポイントをいくつか確認し損ないながら、分水嶺を長いトンネルで抜けて「しなの1号」は塩尻到着。松本まで高速で下ります。
大半の乗客は松本で下車。意外にも、代わりにそれなりのビジネス客が乗車してきました。県庁所在地である長野方面へ向かうのでしょう。
駅手前で踏切のトラブルに遭遇したものの、3分遅れで無事乗換駅の長野に到着。トラブルに影響されたのか、ちょっと焦りながら飯山線のホームへ移動。接続は良いのです。今日は9月上旬の平日。
しかも朝の10時。学校が再開されていない大学生はともかく、乗客なんてほとんどいないだろうと思ったら、出発まで25分ほどあるというのに、お客が列を作っています。
もちろん長蛇というほどではないのですが。間もなく2両編成の列車が入線してきました。いずれもキハ110系ですが、この車両はかつて飯山線を走っていた車両を模した塗装になっています。
実車を知っているセンセイとしては、あまり似ていないというのが感想。それはともかく、約20年ぶりに飯山線に乗車。良く覚えている光景もあれば、まるで初めて出くわすような光景も。
いずれにしても、長野─新潟県境はとても見応えがあります。.......と、あることに気づきました。乗客の構成です。
もちろん高校生や買い物帰りの高齢者など、普通の乗客がいらっしゃいます。戸狩野沢温泉駅までおばあちゃんだけの団体客も。その他は鉄道ファン。現在はまだ「青春18きっぷ」の有効期間中なのです。
しかし、その姿を予想していた大学生(?)は、わずか1名。その他の鉄道ファンは、60歳代〜70歳代。地味な格好で黒いリュックを背負い、デジカメかハンディムービーを手にしています。聞こえてくるのは「埼玉から来ました」とか「先週はこれで札幌まで...」、あるいは「疲れて、疲れて...」。
「青春18きっぷ」の利用客が変わっているのです。決して「青春18きっぷ」の価値を否定するわけではないのですが、10年後、彼ら──今日は全員男性客だった──やセンセイが飯山線に乗車する可能性はほぼ皆無。乗りたくても健康面からそれが叶わない。
そもそも存在しているかどうかすら、極めて怪しい。10年後、果たして「青春18きっぷ」は今のような形で存在しているんだろうか。そして朽ちて自然に還りつつある廃屋が目立つ飯山線沿線はどうなっているんだろうか。
そしてそもそも、この社会はどうなっているんだろうか。
■9月7日(木) 中部大学での学会が終了しました ――西村センセイ、少しだけ鉄分を補給する――
中部大学で開かれていた学会は、今日の夕方、全てのプログラムを無事予定通りに終えました。
センセイは午前から午後にかけて各行事に参加した後、夕方、自由研究発表部会の一つを司会しました。2時間ほどのセッションだったのですが相手がある仕事なので、とてもヘビー。
発表者や参加者のおかげで何とかなったようなものです。役員という立場上、閉会式に参加して、今日の仕事はすべてお終い。頑張れば今日中に電車で金沢へ戻ることができるのですが、センセイは今晩名古屋に留まり、明日、新潟の自宅へ帰ります。
もちろん余分な経費は自腹。明日は休暇を頂戴しています。西村センセイ、いつもならこのような出張の機会を捉えて鉄分補給。
でも今回、名古屋へ来る時はかなり疲れていたらしく、米原―大垣間で眠ってしまいました。関ヶ原付近も、東海道本線垂水支線も見ていない。
米原―名古屋間を新幹線ではなく、在来線にしたのに、残念。それでも、名古屋駅に近いJR貨物稲沢駅では、最近北陸からの乗り入れを開始したEF510型(JR東日本からの譲渡された銀色カシオペア塗装の509号機)を確認しました。
でもそこから先はなかなかネタがない。今日気がついたのは、春日井駅南方にある王子製紙春日井工場からの専用線。長い編成のコンテナ列車が出発の準備をしていました。
で、写真は中央大学最寄りの神領(じんりょう)駅から撮影したもの。神領駅は約10年前に橋上駅舎化されたのですが、南北を結ぶその自由通路から南西側を見ています。
これは隣の春日井駅との間にある、JR東海の神領車両区。写真の3両編成の列車は211系ですが、この他にもJR東海の主力である313系、少し離れた場所には特急383系が退避していました。ここは中央線その他の車両基地なのです。
というわけで少しだけ鉄分を補給したセンセイですが、う〜ん、まだまだ足りない。もちろんそれは当初から想定済で......。(たぶん、明日へ続く)
■9月6日(水) 頑張った今日の成果を目にすることができるのは、来年 ――西村センセイ、学会で働く――
センセイは今日、愛知県春日井市の中部大学へ「ご出勤」。
センセイ自身が役員として関係している初年次教育学会の、同大学で開かれている第10回大会に参加したのです。
今日の任務は早稲田大学のO先生とともに、あるセッションを主宰すること。学生や一般の方にはちょっと分かりにくい部分があると思いますが、自由研究発表の司会――明日はその当番――ではありません。
また「ワークショップ」という、主として技法を習得する場でもありません。今日はセンセイら2名と、もう一人の方が最初に情報を提供し、その後は参加者全員が膝詰談判で意見を交換するという研究的な部会。それが2時間。
取り上げるのは、その存在や解法が明確になっている問題ではありません。まったくその逆。今まさに姿を現しつつありながら、しかしその全貌も、もちろん対処方法もはっきりしない問題を、センセイらからの情報提供後、まずグループに分かれて、そして最後は全員で議論します。
正直なところ、ヘトヘト。しかしそれでも、一人や二人では絶対に考えたり確認できなかったりしたことをはっきりさせることができました。これはセンセイらのものではなく、参加者によってもたらされた果実。
ただし現在はまだ、それを直接目にすることはできません。今日の議論の結実は、書籍として来夏に形となります。物理的にはその時初めて、参加者の貢献がその姿を現します。
その日まで、もう少々――でもないか――お待ちください。
■9月5日(火) お目当ては金沢工大の学生なんだろうか... ──大学の近くにコインパーキングがオープンしました──
センセイは午後、予定通り名古屋に到着しました。現在は学会理事会(役員会)を終えてホテルに戻ったところ。
学会の様子は明日以降お伝えすることにして、今日は金沢工大、正確には大学近辺での出来事を。
1週間くらい前の天気が悪い日、出勤するために大学裏を走っていたら、写真の場所が舗装されていることに気づきました。右奥はLC(図書館棟)。
その後、白線が引かれてあっという間に駐車場に変身。その前に整地していたので、宅地として売り出すんだろうと思っていたのですが、結果的に予想は外れてしまいました。
その時は、右手の看板の部分に配管が見えました。普通の駐車場には不要なもの。金沢はここ数日は天気が良いので、昨日、自転車で出勤途中にこの場所を通ると、ご覧のような状況になっていました。何と、コイン式の駐車場。
配管は出入口の電気配線用のものだったのです。でも、こんな場所で誰が駐車場を利用するんだろう。一般家庭の方なら、当然、自宅の駐車場を使うはず。
ふと、金沢工大の学生が対象なんじゃないかと思うようになりました。安全講習を受講し、許可を得た上級生や特別な事情を抱えている学生を除き、学生の自動車通学は禁じられているからです。
う〜ん、もしかしたら、意外と良い稼ぎになるかも。
■9月4日(月) 働く過剰 ──青山学院大学の3年生が来学されました──
センセイは明日から名古屋で開かれる学会に参加することになっています。
学会役員(理事)なので、関連したいくつかの仕事をこなさなければならないのですが、準備がまったく間に合っていない(トホホ)。今日も早朝から出勤して準備を進めます。
でも時計の針が10時に近づくと、仕事が手につかなくなってきました。10時に青山学院大学教育人間科学部教育学科の学生さん14名と、引率の、お世話になっているS先生が来学することになっているのです。ゼミ合宿とのこと。一行は10時ちょうどご到着。
まずは学内見学。写真はLC(図書館棟)のアナログレコードのコレクションを見学しているところ。金沢工大、近年はその名を知られるようになってきたので、見学客は多い。
でも大半は、受験を考えている高校生とその保護者。秋の工大祭を除けば、他大学の学生がお越しになることはほとんどありません。大学生は珍しい。
しかも今回来学したメンバーの中で、男子学生は僅か4名。というわけで、夏休み期間中で登校している学生は少なかったのですが、男女を問わず在学生の注目を集めていました。
金沢工大の学生がAKBなら、青学の学生さんは乃木坂ですからねぇ。1時間15分の予定が、ちょうど倍の2時間半かかって、控室に戻りました。ここからがセンセイの本番。質疑応答の時間です。
学内ツアー中も学生さんからたくさん質問を頂きました。その問題意識は極めて的確。知的レベルの高さがわかります。この質疑応答についても同様で、何だかセンセイが口頭試問を受けているかのよう。(嫌味ではありません)
最後に、最も鋭い質問が。「教職員はいくつものヘビーな仕事を抱えて過度な負担になっているのではないか。どうやってその折り合いをつけているのか」という内容。う〜ん。
負担が過重で、改善しなければならない問題が複数存在することは事実。まずその点を確認します。で、一瞬間を置いてからセンセイが口にしたのは、「でも、根本的には給料の多寡(たか)ではありません。今日(あちこちの部署で)皆さんに対応してくれた職員の表情はどうでしたか?」。
実は、金沢工大の教職員──特に職員──の給料は、非常に低いのです。「給料に見合った分の仕事をこなしているのではなく、それを超えた何かを、しかも自分のために──ちょっとはあるかもしれないけど──ではなく、他の人のために、勝手に働いているのです」。
自分でもあまり意識していなかった言葉が、センセイの口から勝手に出てきます。まさに言霊(ことだま)。ギリシア語なら“pneuma”。ちょっと(とうより、かなり)口が滑ったかなと思って、同席していただいた庶務課長の方を見ると、「先生が仰る通りです」。
つくづく教えているんだか、学んでいるんだか、わからなくなってきます。というわけで、今日は得難い経験をさせていただいたのですが、あ"、仕事が......。(関係者の皆様、ゴメンなさい)
■9月3日(日) 西村センセイ、コンバインの音に見送られる ──金沢でコシヒカリの収穫が始まりました──
今日は見たままのお話を手短に。
週末なのでセンセイは本来、金曜か土曜に新潟の自宅へ帰宅するところ。でも今回は先週後半に微妙なタイミングで帰宅し、一昨日のうちに金沢へ戻っていました。
昨日大学院の入学試験が実施されたのです(広く公開されている事実)。
入試部長であるセンセイの出番。というわけで、他の用も溜まっているので、この週末は金沢に留まることにしました。アパートにいても仕方ないので、今日もご「出勤」。
法律上は働いているのではなく、研究室を使用させていただいているという扱い。それはもとかく、身支度を整えていると、アパートの外がうるさくなってきました。機械の音です。
外を見ると道路にコンバインが止まっていて、次の作業の準備中。そのうちに道路から用水路を越えて田圃へ入る金属製の渡り橋(写真下)を掛ける音が聞こえてきました。
鍵を掛けて外に出ると、稲刈りの作業がまさに始まったところ。早稲品種は10日くらい前にすでに収穫を終えています。だから今日刈り取られたのは、まず間違いなく主力品種のコシヒカリ。
センセイが住む地域は田植えが早い。自宅がある柏崎市は全国でも一番早く収穫する地域の一つで、今年は県内のトップを切って先月21日に稲刈りをしています。でも一昨日、実家近辺を走行した時は、まだコシヒカリの収穫は始まっていませんでした。
もしかしたら、金沢の方が早いかも。当たり前ですが、夜、アパートに戻った時には綺麗に刈り上がっていました。農民の倅(せがれ)としては、切り口から流れ出る匂いに強く惹かれるものがあります。
う〜ん、早めに引退して、農作業を学び直そうかなぁ。