2009年4月25日更新(2009年5月3日ページ移動。2013年9月15日一部写真削除)
■4月25日(土) 同じデジタル接続なのに、どうしてこんなに音が違うんだろう
締切を過ぎて、提出の催促を受けたまま自宅に戻った──逃げ帰った?──のですが、月曜の朝までならいつ送っても同じだと気がついた途端、西村センセイはたちまち現実逃避モードに。
子供の時からのこの性格、何歳になっても直らない......。仕事をするためには環境整備から、というわけでCDをかけようと思い、先日持ち帰ったポータブルCDプレーヤを取り出しました。
デジタル出力を光ケーブルで改造済のDAコンバータに繋ぎ、出力をコンバータ右隣の真空管式ドライバに直結して、写真左側のスタック社製イヤースピーカー(ヘッドホン)“SR-Λ”(ラムダ)で聴きます。
スタック社のものはいずれも販売当時、最上位機種でした。ところが何だか音がおかしい。ちょっと寝ぼけたようなところがあるのです。
金沢のアパートで聴いた時はいい音だなぁーと思ったのですが、そこに置いてあるのはいわばサブのシステム。
自宅書斎の機器はグレードが格段に高いので、微妙な差を見逃さないのです。不思議に思って、聴いていたCDをソニーのBDレコーダ“BDZ-V9”に移して再生します。
BDZ-V9の音を直接聞くのではなく、デジタル音声出力──同軸と光を備えているが、同軸を選択──をDAコンバータで音声に変換してから聴きます。
これによって再生機器の差をなくすことができるのです。BDレコーダはパソコンそのものなので、起動やディスクの準備に時間がかかります。この辺は専用機との決定的な差ですねぇ。
でも聞こえてきた音楽は本当にすばらしい。楽器の重なりの順序も正しいし、遠近感、中音域を中心とした音の充実感、ほとんど文句のつけようがありません。
何しろ、音量からして違うのです。知識をお持ちの方ほど「そんなバカな」と思われるでしょう。
ちょっと解説すると、CDプレーヤなどのAV機器は、その音声出力として普通のアナログ音声に加えて、音声をデジタル化したデジタル出力を備えていることがあります。
CDを再生すると(読み取りエラーと訂正、補間がない限り)まったく同じ信号が出力されるので、今回のようにいくつかの機器で再生しても、同一の機械(DAコンバータ)で音声信号に変換する限り、まったく同じ音になるはずなのです。
特に音量が違うなんて、あり得ない!!ところが実際は、これがかなり違う。まず一般的に、光ケーブルよりも同軸の方がしっかりする音がすると言われています(センセイも基本的に同意)。
光ケーブルを使うと、グラウンドのループを遮断できるので、本来は品質面で有利なはず。
データ(情報)の内容は同一でも、信号が時間軸方向に微妙に揺らいでいる(「ジッタ」)ために、それを基準として機器が動作する結果、歪みが発生するからだろうと思います。
とにかく、再生機器によってずいぶん違うのです。ポータブルCDプレーヤが自宅書斎での水準に達しないとなると、う〜ん、困った。
CD専用の再生機器を買ってもいいのですが、現在は専用機は壊滅状態。
近くのジョーシンで人気のあるパイオニアのDVDプレーヤを18,000円弱くらいで売っていました。ファンレスなので、それや他社同等品を買ってもいいのですが、でもメカはポータブルDVDプレーヤだろうなぁー。
■4月24日(金) 「そういう場所」 ──工大近くのお店が、またまた替わってしまった──
センセイは通常、一週間の講義を終えると、ひとまずアパートに戻って荷物をまとめて金沢駅行きのバスに乗り、自宅へ戻ります。
今学期もいつも通りにやってみたのですが、講義の終了時刻──今学期は割と遅い──とバス、電車の接続が良くなくて、いつものルートだと帰宅がかなり遅くなってしまいます。
そこで先週から、帰り支度をして出勤し、講義を終えるとすぐに近くの「野々市工大前」駅から北陸鉄道石川線に乗って新西金沢駅で下車。隣接する西金沢駅でJR線に乗り、隣の金沢駅で特急電車に乗車することにしました。
こちらはとても接続が良くて、講義を終えてから1時間以内に、特急電車に乗車できます。先週は久しぶりの石川線ということもあってバタバタしていたのですが、今週はもう慣れたもの。周囲の様子も余裕で確認できます。
今日は途中にある自動車部の建物の前で、数人の部員がきらきらとした顔で、バイクのエンジンの話をしていました。君たちは、ホントに好きなんだねぇー。高橋川を渡ると焼肉屋の撤退後、いつまで経っても次のテナントが決まらない場所に出ます。
ふと気づくと、その斜向かい、その昔「ターバンカレー」だったお店がひとまず焼肉屋になって、その後「ジャンカレー」を経て、別な焼肉屋(だったかな)になっていたのが、さらに別なお店になっていました!!
何度も書きましたが、もし仮に、経営者が「8,000人もの学生がいるから」という理由だけで大学近辺に飲食店を出すのなら、考え直すことをお勧めします。
例外はあるでしょうが、工大生のほとんどはとても質素な生活──少なくとも本人たちはそう思っている──をしていて、外食をする余裕はあまりありません。
特に最近は深刻な不況で、親御さんたちはさらに厳しい状況に追い込まれています。経営者の方々にはその辺を良くご理解いただいた上で、もう一工夫していただけると、新しい展開があるんじゃないかな、と思っているのですが......。
■4月23日(木) いくら何でも、ちょっと早すぎるのでは? ──金沢で田植えが始まってしまいました!!
──
近くのスーパーから惣菜がなくなる時間が迫り、ちょっと焦りながら自転車を走らせていると、あれ?! どこかちょっと変......。
金沢市内、センセイがアパートを借りているあたりは田圃が広がっています。
先日から耕起作業(「田起こし」)が始まっていることはわかっていました。もっともセンセイ、日中は不在なので、アパートに帰ってきた時に「あ、今日作業が終わったんだな」と理解するのですが。もしやと思って自転車をUターンさせまると......やっぱり。田植えが始まっています。
「春なんだから、当然でしょ?」と思われる方も多いと思います。
地域によってかなり差がありますが、通常の品種の田植えは5月の連休〜5月末(関東地域)。
本来ならばまだちょっと先の話なのです。先日、米どころ新潟県でも、最も早い田植えが行われたばかりで、金沢での田植えはいくら何でも早すぎる......。
確かに、早く植えれば早く収穫できますから、希少価値を付加して新米を高く売ることができます。
「だから問題ないでしょ?」と言われると、これがちょっと違う。お米は熱帯原産の植物ですから、基本的には高温に強い生き物です。
最近は品種改良が進み、新潟県を抜いて寒い北海道が生産量日本一となりましたが、それでも高温を好むことには変わりありません。でも意外なことに、稲の生涯で唯一、開花──とても小さく、可愛らしい花です──して受粉する期間だけは、過度の高温に弱いのです。(「高温障害」と言います。)
4月末から連休までに苗を植えると、8月上旬の気温の高い時にこの開花時期を迎えてしまうため、農協などの農業関係機関は、連休後の田植えを強く指導しています。特に主力品種のコシヒカリはもともと背の高いのに、高温が続くとさらに背が伸びてしまい、倒伏(とうふく)を起こしがち。
万一倒伏して、せっかくのお米が田圃の水に浸ってしまうと、商品にならなくなってしまいます。だからコシヒカリは連休前には絶対に植えられません。さすがのセンセイも、苗で品種はわかりませんが、いずれにせよこの時期の田植えは早すぎるのです。もちろん今回植えられたのは、比較的暑さに強い早稲(わせ)品種だろうとは思いますが......。
■4月22日(水) センセイが一番感心させられるのは... ──クラスのバーベキュー大会が開かれました──
今日の夕方、毎年恒例のバーベキュー大会が開かれました。新入生を歓迎してクラス単位で開かれるものです。
入学直後のオリエンテーションの際に「バーベキュー委員」なるものを選出し、委員長らに進行をお任せします。
以前はセンセイが仕切っていたのですが、彼らに任せた方が勉強になるし、何よりも、みんながより適切に動くことに気づいたからです。(え"、そんなの当たり前だって?)始まってしまえば、もう年頃の若者たち。
「うまい、うまい」とか「倖せ」とか「こんなの初めてだ」などと言いながら──実話──バクバク(!!)とお肉とご飯を食べていきます。
1人あたり300gの牛肉と野菜が割り当てられているのですが、そのうちに「もっとないんですかぁー」などという声が聞こえてきます。若いなぁー。センセイの分のお肉は別枠だし、そもそもセンセイはそんなにお肉を食べないので、まるで欠食児童のような男子学生諸君にセンセイの分を回します。
こういう場面で目立つのは、割と性格が明るく、目立つことを厭わない青年たち。確かに貴重な存在で、その場の雰囲気を盛り上げようと頑張ります。
1時間半もすると肉もなくなるし、みんなお腹一杯になる──たくさんのご飯もからっぽ!! ──ので、そろそろお開きの時間。
でもセンセイにとってはここからが本番。
ちょっと暗いと思うかもしれませんが、これから始まる片づけの場面で学生一人ひとりの性格が本当に良く表現されるのです。まず、先ほどの目立ちがりやの諸君は、いつの間にか姿が見えなくなっています。
誤解なきように申しますと、片づけが嫌でサボっているのではなく、何か面白いことができて、そっちへ行ってしまっているのです。もちろん、今、何をしなければならないのかということを、まるで忘れてではありますが。
他方、センセイは最低限の指示を出しているのに、相変わらずボォーッとしたまま、何をどうすればいいのかわからない人もいます。そしてセンセイが、偉いなぁーと感心させられるのは、たいした指示を与えているわけでもないのに、全然目立たず、でもしっかりと洗い物や片づけをしている学生諸君。
社会はこういう人たちによって支えられているし、企業もホントはこういう人材を求めているんだと思います。そういう「渋い」学生諸君、そして他の誰よりもバーベキュー委員の皆さん、どうもご苦労様でした。
■4月21日(火) 一雨ごとに、木々の葉の色が変わっていく...
金沢は昨日の夜から雨となりました。
今朝は雨中の出勤も覚悟したのですが、幸いにも今朝は曇り空。(その後、ちょっと降ったけど。)
発達中の低気圧が抜けたようで、石川県ではたいしたことはなかったものの、富山県、新潟県は強風が吹き荒れて鉄道やフェリーの運休が相次いだそうです。今日もなかなか研究室から出る機会がありません。それでもお昼休みに、学食を目指して校舎を出て撮影したのが右の写真。
いつも手入れの行き届いている金沢工大のキャンパスですが、かなりの落ち葉です。
きっと未明にはかなり強い風が吹いたんですね。でも、センセイが一番驚いたのは、木々の色。特に葉の色なのです。
4月最初は雨が降ったものの、金沢ではその後、晴れの日が続きました。
この間、気温はかなり高かったのですが木々はじっと茶色く身構えたまま。桜の木もなかなか花を咲かせようとしませんでした。その後、ホントに久しぶりに恵みの雨となり、急に木々の活動が始まった、そんな感じがします。
ここ数日は日に日に木々が成長していき、いろんな緑色が競演しています。でも肉眼では、若い木の緑色とこの老木の深緑があんなに違うのに、写真にしてしまうと、さほどの差ではなくなってしまいます。
このドキドキ、ワクワクした感じを映像できちんとお伝えするためには、もっと撮影テクニックを、そして何よりも心の修行を積まなくてはいけないようです。
■4月20日(月) これはもう、買うしかない!! ──JTB時刻表通巻第1,000号発売──
センセイは基本的に、ダイヤ改正の機会に列車時刻表を購入します。
先日の大改正の際にも当然のように買ったのですが、ふと気づくとそこに、「もうすぐ1,000号」との告知が載っていました。
JTB(旧交通公社)の前身の組織が1925年に時刻表を創刊して以来、通巻1,000号(関連特設サイトはこちら)の発行を達成するというのです。((c)JTBパブリッシング)その発売日が、今日。
金沢を含めて、田舎では雑誌類の発売日が遅れることが多いので、今日はまだ入手できないだろうと思っていました。
でもふと気づいて、お昼に大学の購買部へ行ってみると何と、平積みされています!! これはもう運命の出逢い。
買うしかない。今月号は、いつもと違って全体が特殊なネット上のゴムで止められてました。
何故だろうと思ったのですが、実はこれ、記念に中に入っている薄い付録の盗難防止のためなのです。その付録というのが、終戦後間もなくに発行された時刻表(昭和21年2号)冒頭部に掲載されていた「全国鉄道線路図」。
センセイは自分が経験している限りでの時刻表の変遷には興味があるので、古い時刻表(復刻版)も一部ですが所有しています。
でも昭和21年といったら、センセイが生まれる10年以上も前の話なのでほとんど期待せずに眺めていると......これがとても面白い。時刻表の最初に検索用の路線図があって、その後に本文(時刻表)が続くという形式は今と同じようです。
その路線図、多くは現在とあまり違わないのですが、北海道は線路だらけだし、東北や関東、東京近辺も現在と違って、未完成の路線がたくさんあります。
約20年後に建設される新幹線が存在しないのは当然としても、湖西線は影も形もなく、紀勢本線はまだ紀伊半島を一周していません。大阪もまだ「環状」線になっていません。自分に関係するところをよく見ると、まず新潟市は現在とほとんど同じ......ような印象を受けますが、実はこれがかなり違うのです。
新潟駅も、そして乗降客県内第二位の白山駅も、現在の場所にはありません。
前者は現在の新潟東映ホテル、後者は新潟市立鏡淵小学校の場所にあり、しかもこの二つの駅はレールで繋がっていないのです。
正確に言うと、戦争中に貨物の支線が繋がり、その後旅客も運ぶようになって、二つの駅も移設されることになります。さらに、その白山と新発田を結ぶ白新線──路線名は両駅の名前に由来──も存在しません。
弥彦線の東三条−越後長沢間はすでに完成していたのですが、戦争末期に休止したので、この地図には載っていません。(魚沼線も同様)一方、細い線、つまり私鉄は活躍していて、図の左側に(見えないけど来迎寺−西長岡から始まって)大河津(おおこうづ:現在の寺泊駅)─寺泊と続く越後交通長岡線や同社の栃尾線、村松鉄道(五泉−加茂間)、新潟交通路線(図の中央)が見えます。
いずれも現在は完全に廃止されています。富山県も興味深いのですが、紙幅の都合もあり、石川県、福井県へ移り、まず国鉄北陸本線から。
図の左端、敦賀の手前にはまだ北陸トンネルが存在しないので、北陸本線は200mくらい山を登って峠越えしていました。
頂上部にある、眺望で知られた杉津(すいづ)駅──現在は北陸自動車道上り線の杉津PA──の名前が見えます。そして特に注目していただきたいのが、北陸本線を出発点として上下方向、つまり南北方向に延びた細い線の私鉄網。
現在は北陸鉄道浅野川線、石川線しか残っていません。西村センセイ、金沢に住むようになってから、アパートのすぐそばを含めて加賀地方には私鉄がたくさん走っていたとか、金沢市内には路面電車が走っていた(この図には未掲載)と教えていただきました。
でもさすがに、こんなにたくさんの路線があったなんて、さすがのセンセイも想像できませんでした。
まだまだ知らないことだらけなんですね。忙しくて鉄道に全然乗れないけど、いいんです。こうやってとにかく「鉄分」補給、という感じ。
辞書と同じで、時刻表は「引く」ためにであるのではなく、「読む」(/読み込む)ためにあるんですから。
■4月19日(日) よく働いた日のご褒美は、初体験、ホタルイカのお刺身!!
今日は朝早く自宅を出て、家人の新潟県内の実家へ。義父母と早世した義兄の法要が営まれたのです。
二日続けての家族──というより一族──サービスとなりますが、代々誰かが務めてきたことなので、次期(10代目)ご当主様も、その任務を粛々(しゅくしゅく)と果たします。でも、今日中には金沢へ移動する必要があるので、乗用車で混む高速道路でひとまず自宅へ戻り、支度を整えて電車に乗ります。いつもとは違う列車です。
さすがにちょっと疲れていたようで、気がつくともう富山県。このまま乗っていてもいいのですが、この列車は途中の富山止まりなので、別な列車に乗り換える必要があります。そこで駅員に断って、途中駅で下車しました。
実は、いずれにせよ30分後にこの駅を出発する金沢行きの電車に乗ることになるのです。この機会に、以前からずっと気になっていた駅前のスーパーに入ってみました。金沢に戻っても、冷凍してあるご飯以外の食料はないし。
富山県内のスーパーには何回か入ったことがありますが、このお店の系列は初めて。
まったく知らない名前です。あちこち探検してみたかったのですが、時間はあまりないのでとにかく惣菜を.....と思ったら、何と、ホタルイカのお刺身!!
ホタルイカだってイカの一種ですからいろんな調理方法があって当然なのですが、お刺身は初めてです。
しかも最寄り魚津港の「新鮮朝とれ」とのこと。これはもう、買うしかない。「お刺身」といっても、普通のイカのように身をさばいてあるわけではなく、内臓を取り除いてあるだけです(写真中央部はゲソ)。
とにかく初めてなので、最初はお醤油をつけずに、そのまま頂戴したのですが、これがやはり甘い。
富山産ならではの甘さだと思います。でも押し売りするような甘さではなく、ほんわりとして微妙な甘さです。お子ちゃまには無理だな。
次に、例によって岡山県新見市産のお醤油をつけて食べてみたのですが、もちろんこちらもおいしい。
ここで初めて、ホタルイカの身の繊維性がかなり強いことに気づきました。
普通のイカと違って身がとても薄く、普通のイカのように身の部分のボリュームというより、繊細な味と、この「コリコリ」とした食感で勝負するという感じ。こんな風に富山県の美味しいものに巡り会えるのなら、日曜に金沢へ移動する時は、今度からこの電車にしようかな。