2010年10月16日更新(2010年10月24日ページ移動。2014年9月23日一部写真削除)
■10月16日(土) 今どき、こういう経営は流行らないのだろうけど。 ──柏崎市の「ラーメン大学」が閉店──
また今日も食べ物ネタになってしまいました。悪しからず。こう忙しいと、どうしても行動半径が、そしてそれ以上に視野が狭くなってしまうようなのです。
新潟の自宅へ戻ったのですが、ちょっと確かめてみたいことが出てきました。金沢にいる時に得た情報によると、自宅近くのラーメン店が閉店したらしいのです。
幹線国道沿いの「ラーメン大学」がそのお店。繁盛していたわけではありませんが、店の前を通るといつも、利用客の車がそれなりに止まっていたのですが。白状するとセンセイはこのお店に一度しか入ったことがありません。決して悪い印象はありませんが、逆に、足繁く通うだけの理由もない。強いて挙げるなら、どこか家庭的でくつろげる感じ。
もう一度くらいなら...と思いながら、この日を迎えてしまいました。新潟県内はこの1店舗だけです──というより過去形か──が、県外へ出ると「あれ? こんな場所で」と出くわすことがあります。良く分かりませんが、チェーン店なのでしょうか。
角帽、つまり大学生の帽子をかぶり、緑色の中国風の服(学生服?)を来た少年がシンボル。入口に張り出された紙によると閉店は1週間前。でも窓の内側から貼られた店舗名のシールや雑草などは、まるで何年も前から営業していないかのよう。
たぶん、経営していた夫婦の心中(しんちゅう)そのものなのでしょう。写真左隅、奥まった場所には、シンボルの相当大きな人形。以前は入口脇で国道を見ていたのですが、現在は建物を向いています。
偶然ではないでしょう。このお店に限らず、幹線道路に面したちょっと古いタイプのラーメン店や、狭い駐車場のコンビニが、いつの間にか消えています。
跡地には外装に濃い茶の木材を多用し、一見すると何のお店だか分からないようなラーメン店。
その特徴は濃厚な魚介スープ+豚骨。コンビニはというと、周囲を一括して整地し、大型トラックも利用できるような広いコンビニへ変身しています。「お客のニーズに合わせた」と言われればそれまでなのですが、パターンがあまりによく似すぎています。
オーナーの目の、焦った、そしてやや虚ろな感じが、特に印象的。経営者が自分で悩み、工夫した、というより、本部かコンサルタントか分かりませんが、どこかの誰かの指示に従っている、という感じ。自分で考える、ということを諦めているのか、そもそもその大切さを知らないのか。
種の多様性という観点から見ると、センセイには、生命力が低下しつつあるかのよう。もちろん自分で一生懸命考えたからといって、安寧(あんねい)が保証されるわけではありません。でも、他人の指図に盲目的に従っているだけでは、決して未来を切り拓くことができないこともまた、確かであるように思えます。
■10月15日(金) 夜の煙突 ──工大の食堂は夕食も提供中(食べたことはないけど)──
駐輪場が裏手にあるので、センセイは通常、自転車に乗り、そのままスーパーを経由してアパートへ戻ります。センセイのアパートは裏の、通用門側にあるのです。
でもずっとお伝えしているように、ここ3週間は車で来ているので、本館(1号館)前の駐車場を利用。朝早く来た人だけが止めることができる場所です。
その駐車場の向かいには、夜の闇の中に新厚生棟がそびえ立っています。完成後に気づいたのですが、研究室の電灯を消す時になっても厚生棟1階、つまり食堂は煌々(こうこう)と明かりがついたまま。
夜も研究や勉強にいそしむ学生諸君のために、夕食を提供しているんですね。工業大学は男子学生中心だから、やはり料理が苦手という人も多いんでしょう。
限定メニューながら夜の7時まで営業していますし、朝も講義開始前から朝定食を供しています。周囲にはコンビニはもちろん、24時間営業の松屋や吉野屋、そして深夜まで営業する飲食店が多数存在。
夕食に限ってみても、閉店前に在庫を割引して売り尽くそうとするスーパーと競合しています。
値段の下がった弁当を買い求める学生諸君を多数見かけるし、偉そうなことを言っているセンセイだってその中の一人。(弁当は買わないけど。)でも、いろいろ抱えながらも、そして決して派手ではありませんが、この食堂そのものや、そこで働く人々がいます。
「これからの人材」を育てようとしている人々によって、この社会とその未来が支えられているんでしょうね。ところで、木の陰になってよく見えませんが、中央のエスカレーターは、建物が閉鎖され、完全に無人になった深夜早朝も常にゆっくりと動いています。
止まっているのを見たことがありません。何故なんだろう。
■10月14日(木) これはもうほとんど、「つけ......麺」 ──ラーメン店「凌駕堂」に入ってみました──
昨晩、酒屋からの帰りに大学近くで車を走らせていると、先日ご紹介したラーメン店が営業を開始していることに気づきました。これはもう、行くしかない。
というわけで今日のお昼に徒歩で現地へ。けっこう車が駐車しています。お店に入ろうとして、ふと違和感を感じました。その時はわからなかったのですが、お店を出てから改めてチェックすると、お店の名前が「凌駕」から「凌駕堂」に変わっています。
まぁ、確かにこの方が落ち着くとは思います。当たり前ですが、お店全体の構造は、福井ソースかつ丼「かつ平衛」の時と同じ。
でも店内は大きく改装されているので、かなり違った印象を受けます。メニューがないのであたりを見渡すと、黒板に「あさりとんこつ」「ラーメン」そして「チャーシューメン」。
塩味と推測される「あさりとんこつ」にも惹かれるものがあるのですが、ここはやはりラーメンをお願いします。店員は8名もいるのですが、本職は調理場内の2人とフロア係の女性。他の4人はアルバイトかパート。
要領がわからず右往左往しているので、その度に厨房から直接指示を受けています。開店準備が不足していたんじゃないかなぁ。
普通のお店より待たされて届いたのが写真のラーメン。丼は小振りです。
最初に感じたのは塩の風味。食べる前から塩の香りが伝わってきます。
スープを、と思ってレンゲを入れようとすると......入らない。麺の量と比してスープが少ないのです。
それでも一口すすると、魚介類の濃密な味が広がります。ラーメンのスープというより、最近流行りの魚介系(+豚骨)つけ麺のつけ汁。
ふーん。麺はというと、細いストレート麺で、粉っぽくもなく逆にしっとりした感じでもなく、ごく普通の味。
ちょっとモチモチした感じで、そんなに悪くはありません。一番上に乗っているチャーシューは薄いのですが、よく煮込まれていてとろけそうな感じ。
箸でつまむと、崩れてしまいました。それにしてもスープが濃密なので、「スープ割り」がほしいくらいだなぁー......と思った時に気づきました。
要するに、ラーメンというより「すでにつけてある、つけ麺」なんですね。お昼はライスが無料サービスなのですが、濃い味で有名な「富山ブラックラーメン」のように、おかず感覚で食べるべきなのかもしれません。
決して美味しくないわけではないのですが、近くのラーメン店「テラ」同様、ベースが塩味なので、センセイが来るのは半年に一度くらいかなぁー。
■10月13日(水) 二つの意味で、身体には良くないかも。 ──車で通勤するメリットとデメリット──
何度かお伝えしているように、結果的にセンセイは3週連続で金沢へ車で来ています。
今回は地震の影響ですから、新潟−金沢間の利用は止むを得ないとしても、アパートに車を止めたまま、いつものように「マイカー」、つまり自転車で通勤することも可能。
でも今回は、自転車を全然使っていません。一つは、天気。
金沢はこのところ雨がちなのです。しかも大降りだったりします。しかも昼間の暑さと対照的に、朝晩は寒いくらいなのですが、車だったらほとんど機にしなくて良い。
確かに車は便利だ。そしてもう一つ。目的地まで早く行くことができます。アパート−大学間は1.5Kmくらいしか離れていません。しかも信号機がかなりあるので、車だとストップ・アンド・ゴーを繰り返します。
だからそんなに所要時間は違わないのでは、と予想していたのですが、実際には1/3に短縮。でも良いことばかりじゃありません。まず運動量が確実に減ります。
今回は3週間だけなので気にするほどではないのですが、これが毎日だったら、身体には良くないだろうな。
そして他にも健康的ではないことが。ご存じのようにセンセイはビール党。でも、さすがに自転車でビールケースを運ぶことはできないので、普段は酒屋さんに配達してもらっています。
日中は仕事があるので、割と早く帰ることができる日に、酒屋さんと時間などを綿密に打ち合わせする必要があります。しかも配達してもらうためには、きっちりと残量を管理しなければなりません。その日の気分で飲む量を変えたりなんてできないのです。
でも車だったら別。今日は空き瓶の入ったケースをトランクに積んでのご出勤。仕事を終えてから、同じ「やまや」の大学近くのお店でケースを購入しました。
もちろん便利なのですが、こうなると「もう1本だけ...」という誘惑への抵抗力は低下してしまいます。やっぱり身体には良くない要素が多いから、来週からはいつものように電車を利用しよう。
■10月12日(火) し、知らなかった。古いMacに、こんな操作方法があったなんて...
昨日の研究室での出来事。本当は昨日お伝えするつもりだったのです。
いつものようにPowerMac G4 CubeとMacBook(Windows)をネットワークで接続し、今でもメインのOutlook Express(5.02)を使用していた(左画面)のですが、ちょっとマウスが滑ってデスクトップをクリック。
その瞬間、右の画面に変わってしまいました。Outlook Expressが跡形もなく消えています。
フリーズさせてしまったと心配した──かなり焦った──のですが、メニューバーの時計はちゃんと動いています。固まったわけではありません。
変だな、と思ってメニューバーの右端をクリックすると、Outlook Expressのアイコンが薄く表示されています。
本当は起動しているのですが、OEがデスクトップから隠されているのです。旧MacOSはオプションキーの活用がポイント。
例えばいくつもウィンドウが展開された状態でオプションを押しながらウィンドウの一つを閉じると、他も全て閉じることができます。
フォルダを開く時に、オプションを押しながら開くと不要な階層を飛ばすことができる──一度開くがすぐに閉じる──など。実機がないと、特にWindowsユーザーにはわかりにくいとは思いますが、慣れてしまうと、旧MacOSはとにかく便利。
鉛筆で紙にスケッチするような、そんな使い勝手の良さがあります。センセイは1993年の冬からMacintoshを使っているのですが、こんな操作方法があるなんて知りませんでした。
もっとも、最近のセンセイは物忘れがひどいので、その昔は知っていたのに、いつの間にか忘れてしまった可能性もかなり高いのですが。
■10月11日(月:祝日) 俳優の池部良さんが亡くなられました
夕方になって悲しいニュースが入ってきました。8日、俳優の池部良氏が亡くなられたというのです。
センセイは芸能界にさほど詳しくありません。やくざ映画で有名だそうですが、センセイは観たことないし、子供の頃にテレビで少し姿を見ただけ。
でも唯一の例外があります。池部氏は小津安二郎監督作品の「早春」(1956年)──小津作品にしては珍しくシリアスな内容──に淡島千景さんとともに主演していらっしゃるのです。
センセイはNHKの衛星放送で観ていますし、DVDも持っています。そして何より、池部氏と淡島さんは第2回の「小津安二郎記念・蓼科高原映画祭」にお越しになり、映画の上演後、シンポジウムおよび懇親会に出席されているのです。
この時はご縁があってセンセイも参加。両氏のお人柄に惚れ惚れとさせられました。とても控え目なのですが、やはり凡人にはない「華」と意志の強さを強く感じました。
それにお二人とも美男子、美女だし。その後たまたま知ったのですが、池辺氏は第二次世界大戦を見習士官として経験されています。
中国戦線から南方へ転戦する途中、乗船していた輸送船が撃沈されながらも、九死に一生を得てモルッカ諸島「ハルマヘラ島」(インドネシア)へ上陸。
爆撃に耐えながら部隊長として終戦を迎えます。随筆家としても一流。写真の『ハルマヘラ・メモリー』(1997、中央公論社)はこの間の様子を比較的クールな調子で伝えています。
シンポジウムと懇親会で感じた頭の良さと意志の強さの秘密のいくばくかは、この戦争体験にあるんですね。
父親がまたひとり去っていくような、そんな感じがします。氏のご冥福をお祈りします。
■10月10日(日) 近江町市場に、初めて入ってみました。金沢に来て9年目に入るというのに...。
昨日の研究会の会場は、金沢市中心部「武蔵ヶ辻」のすぐ近く。
会場へ行く時は一つ手前のバス停で降りて歩いたのですが、帰宅時は武藏ヶ辻バス停から乗車することにしました。どうやらこちらの方が近いようなのです。
かなり強い雨の中、バス停にたどり着いた西村センセイは、本人も予想していなかった行動に。武蔵ヶ辻にある有名な近江町市場に入ってみることにしたのです。この近江町──金沢ネイティブの人は「おみちょう」に近い読み方をする──市場は、金沢城や兼六園、あるいは繁華街香林坊(こうりんぼう)と並ぶ観光名所。
センセイが金沢に出入りするようになったは2001年後半ですから、もうすぐ9年目に入ります。でも、週末は新潟の自宅へ戻るので、センセイはまだ近江町市場に入ったことがなかったのです。
ほぼ毎週、この前をバスで通っており、入り場の様子はよく見ている(こちらやこちら)のですが。この間、古い市場は新しいビルに建て替えられてしまいました。そうなればなるほど、ますます来る機会がなくなる。
というわけでこれを逃したら最後、エイヤとばかりに市場へ突入(?)。城下町金沢の「台所」だから、さぞやエレガントな......という予想を裏切って、市場は実に庶民的。
海産物で有名なことは知っていましたが、野菜──加賀野菜も並んでいる──や衣類などのお店も。ご覧のように、もう夜になるところで、お店も半分くらい閉まってたのですが、昼間の人出は凄いんだろうなぁーということが容易に想像されます。
地元の方の話によると、ホントに親しい存在のようで、初冬の蟹解禁の日には、ごく当たり前のようにお母さんがここで小型の蟹(コウバコガニ)を買って、食卓に並べるそうな。
東京の下町の人にとってのアメ横のようなものなんでしょうね。短い時間でしたが、近江町市場をぐるっと回って気がついたことがあります。金沢駅側から見ると市場は立派なビル(「近江町いちば館」)になっているのですが、それは道路に面した付近。
近江町いちば館はおしゃれな建物で、1階は市場、地下1階(チャンカレもある)と2階は飲食店街になっていますが、その奥は割と、昔のままのようです。いろんな要素が雑多に共存する、そんな近江町市場。時間があったらぜひ、観光客で溢れている「ハレ」の時に来てみたいと思います。