2020年3月28日更新(2020年4月5日ページ移動)
■3月28日(土) 「ホウレン草が巨大に育ったので...」 ──西村センセイ、雨霞の実家で考える──
西村センセイ、何だか相当疲れていたようで、昨日はひたすら休息している、という感じ。やはり、これが齢を重ねるということなんでしょう。
快適な環境の自宅にいるにもかかわらず仕事が全然進まないので、予定を変更して今日、金沢へ移動することにしました。入学試験の代休は年度内に消化することができたのですが、休日に働くことになります。
ほぼまったく無意味なのですが、まぁ、しかたない。金沢へ向かう場合、通常は朝食後支度を整え、そのまま出発します。
理由は簡単で、金沢に着いてから少し仕事ができるし、運転時の疲労が相対的に少ないのです。概ね南西方向へ進むことになりますが、午前中は横方向から陽射しが入るだけですが、午後は真正面からの逆光。
運転がしにくい。でも今日は、朝食後もそのまま自宅に留まってから、逆方向の家へ向かいます。もともと今日、実家を訪れることにしていたのです。でも昨晩、電話で母親に再確認すると、買い物は弟が連れて行ってくれるとのこと。
なぁーんだ、と、早めに金沢へ移動しようと考えたら、「野菜がないでしょ?」。確かにそうなのですが、これは「野菜がたくさん獲れて処理できないから、助けて」という意味。改めて尋ねると何と量だけでなく、「ホウレン草が巨大に...」とのこと。
本人がそう言うくらいですから、もう、間違いない。「雨は明け方までには止み...」との予報だったのですが、少なくとも新潟県内は悪い方に外れました。場所にもよりますが、県西部はお昼頃まで断続的に雨。
写真は廃校になった小学校前から撮影したもの。この付近の地下には新潟県中越沖地震を起こした断層がある──そんな場所に世界最大の原子力発電所を設置した──関係で、小高い山が同方向に連なり、低い屏風のような形状を呈し、そこに低い雲がかかっています。
手前には、しっかりとした春の息吹。「雨霞(あまがすみ)」あるいは「雨霧(あまぎり)」という表現が一番近いと思う。昨年の颱風19号の時にもかなり離れた位置からこの場所を見ています。
その時は雲が激しく動いていたのですが、今日はずっと静止したまま。一幅(いっぷく)の山水画のよう。(ただしこの写真に迫力はない)邪魔なのが中央の構造物。北陸自動車道です。センセイが中学生の時に土盛りが始まり、小学生の頃から見慣れた風景を一変させました。もちろん地元民あるいは国民レベルでのメリットも多い。
しかし引き替えとなって失われたものがあることもまた、事実。実家に到着すると、母親が待ち構えていました。確かに、ホウレン草は巨大。キャベツの4倍、白菜の2倍弱の高さ。まるでたばこの葉──見たことがない人が多いと思う──のようです。加えて開花が始まったばかりの菜の花。
その他とともに自宅へ持ち帰り、一部を金沢へ運びました。量が多いので、今日と明日の朝は菜の花、そして次にホウレン草と順番を振ります。最初は鍋で茹でようかと思ったのですが、電子レンジでチンすることにします。水洗いした後、量と大きさの関係で半分に分けてざっと加熱。保存する分をお皿に入れて、冷蔵庫へ。
今日いただく分を改めて加熱します。安直に、自動で加熱したのですが、結果的にはちょっと茹で過ぎ。生で試食した時の「野草の味」が失せて、苦みが先走りがちです。う〜ん、失敗。それでもスーパーの野菜では味わうことができない甘さがあります。
センセイには遺伝しなかったけど、母親は本当に野菜やお米を育てるのが上手い。さて、明日の巨大ホウレン草はどうなる!?
というわけで雨霞に包まれ、そして何より生まれ育った地元で、両親だけでなく自身の来し方行く末を考えた今日のセンセイなのでした。
■3月27日(金) その一歩を、踏み出しておくべきだった... ──「食遊空間 ドライブイン
頼成山」──
昨日とは対照的に、今日は朝から曇り。そして予報通り、正午から細い雨が降ってきました。
写真は昨日、金沢からの移動時に砺波市頼成山(らんじょやま/らんじょうやま)で撮影したもの...といきたいところですが良く見ると、駐車場が雨で濡れています。つまり昨日のものではありません。
約1週間前、金沢へ向かう途中で撮影しました。昨日もこの場所を訪れたのですが、左側にあるローソンの看板が撤去されるなど、整理がさらに進んでいたのです。ご覧の通り、コンビニが閉店した跡。よく見かける光景。
しかしここに至るまでには、歴史が。センセイが金沢工大に移籍してからの自宅─金沢間の移動手段は、最初の模索期間を経て、ほぼ在来線利用に落ち着きました。当時はまだ電車の方が便利だったのです。
それでも衣類の入れ替えやビールの購入などで、月に1回程度、自動車(プリメーラP12型)を利用。当時は割と高速道路を使っていたのですが当然、料金もかかるので、やがて一般道も利用するようになりました。ご存じのように西村センセイ、もともと高速はあまり好きではない。
ただしその場合も、主要幹線である国道8号線がメイン。交通量と、信号機が多く、正直なところ走りにくい。こういう時に最も参考になるのが長距離運行の大型トラック。乗用車など異なり、燃費や荷崩れに細心の注意を払う大型トラックは経路を良く考えて走行するのです。
その結果至ったのが、富山県内の山側を走行する現在のルート。途中にあるのが、富山市との境界に近いこの場所です。ここにはかつて、「食遊空間 ドライブイン 頼成山」が存在しました。非常に古く、現在ではほぼ絶滅したタイプのお店。西村センセイ、正直なところ外観の印象から、入館を躊躇(ためら)っていました。
隣の「もりもりハウス」は割と利用するにもかかわらず失敗したかな、と思ったのは約10年前。「頼成山」が工事に入ったのです。最初は解体新築かと思ったのですが、結果的には大規模な改装。もともと日中は有人の食堂を営業していたようで、外観は一新されました。
その頃に知ったのですが、この「ドライブイン頼成山」は、現在では珍しくなった自動販売機でとても有名なお店(たとえばこちら)だったのです。還暦前後の人々は若い頃に大学近辺などで散々お世話になったであろう、しかし残念ながら近年、滅多に見かけなくなったタイプのお店です。
チャンスを逃したことはともかく、これでお店もずっと続くんだろうと思っていたら突然、ドライブインは営業休止後解体。2年半前のことです。その後はローソンに。確かに、立地条件は悪くない、と思う。
実際、それなりにお客さんが入っていました。でもセンセイは、一歩を踏み出せないまま。ご縁がなかった、ということなんだろうなぁーと、半ば言い聞かせるようにしていたら、今回の閉店。
いつもは偉そうなことを言っていても、ツボを外してしまった...。
■3月26日(木) 空は快晴、目の前は立山、BMWは走りも燃費も絶好調。でも...
センセイは今日と明日、入学試験の代休を頂戴しています。今朝、金沢を発ち、新潟の自宅へ移動しました。
こんな場合、通常ならば仕事に区切り──センセイらの働き方は裁量労働性──をつけて金沢を離れ、昨日のうちに自宅に戻るところ。でも昨日は午後遅くに立場上の大きな会議。呼び出されて壇上へ。
業務に関する内容を伝え、その最後に、4年間のお礼を簡単に述べました。その後も打ち合わせがあったので、昨晩は金沢に留まったのです。
予報通り、今日は快晴。大学に立ち寄って、残しておいた荷物を鞄に入れ、車を走らせます。混雑する時間帯を外したので、ほぼ全区間を順調に走ることができました。今日の燃費は約240kmを走行して、22.5km/L。
最高値の22.6kmに肉薄する信じられない数値です。BMWは今日も嬉しそうに走ります。この感覚、(悪い車じゃなかったけど)国産車にはなかったな...。
中山峠の短いトンネル──正確には「内山峠スノーシェルター」──を抜けて富山県に入ると突然、目の前に礪波平野と北アルプスが迫ってきました。
地形や位置関係が変わるわけはないのですが、見え方は日によって全然違います。50km以上も先にある立山が今日は、手を伸ばせば届きそう。たぶん天気と空気中の水蒸気量によるものなのでしょうが、今日は魚津市から富山湾を一望することができました。
帰宅後はいくつか片付けものをしてから、洗車。天気の関係で、先週末は洗い損ねたのです。海岸沿いを走行するし、この間、雨だけでなく風も吹いたので、車体は塩分と泥まみれ。北陸地方の自動車が中古で買い叩かれる原因です。
水洗いしかしないのですが...あれっ?!タオルで吹き上げていると、取りきれなかった小さなゴミがいくつか。油性のものなど水洗いでは落ちないものもあるので、最後は爪で擦って落とします。
爪は樹脂より柔らかいので、塗装を傷つける可能性が低いのです。その中に、他とは感触が違う小さな「ゴミ」が二つ。マズい。
その一つが写真中央の小さな点。前照灯のすぐ上の部分です。爪でなぞると微かに、しかし確実に凹んでいます。飛び石で塗装が無理矢理剥がされたのです。その部分を拡大したのが左下の黄色の枠内。
中央の長方形状の部分は、塗装が完全に剥げて鉄板(グレーの部分)が見えています。良く見ると右下方向に塗装の傷ついた部分が見えます。どうやら角張った飛び石がここに当たったようです。凹む心を慰めながら拭き取りを進めると再び、あれっ?!
左上の枠内はすぐ近くのボンネット表面。長辺1mm弱の塗装の剥がれがあります。こちらは大きいものの、ここだけに当たったらしい。飛び石の多くは、当たった時に独特の「パチッ」──例外的に「バシャン!!」──という音を立てます。
場所と被害の程度が概ねわかるので、覚悟してからチェックするのです。でも今日の移動ではそのような出来事はなかったはず。
ただし先週末の金沢への移動時に、「ちょっと変だな」と思う場面が...。傷の一つはその時のもので、しばらく見逃していたのかもしれません。トホホ。
■3月25日(水) 我が輩は装置である。名前はまだ、ない ──大型液晶画面に手をかざして...
──
...確かにまだ、名前を考えていませんでした。
何回かお伝えしたように一昨年、センセイらのグループを中心とした金沢工業大学の提案が、文部科学省の研究ブランディング事業として採択(こちらやこちら)されました。
残念ながら他大学の不祥事により、5年間の当初予定が3年間に短縮され、今年度末で打ち切りとなりますが。そのブランディング事業、新型コロナウィルスによる肺炎の広がりを受けて、最終報告会は4月以降に延期となりましたが、それ以外の事業を年度内に完了させる必要があります。
その一つが、モノとしては写真の大型液晶画面。背後にコンピュータがあります。(パネル下のキーボードは仮設)金沢工大の図書館(LC)には科学技術に関する「稀覯(きこう)本」、つまり古くて貴重な原著が保管されています。それだけではありません。
学生諸君がそこから何を学ぶべきなのかという教材がこのコーナーに用意されています。先生方が工夫された品々です。この機会に、学生諸君がイメージしにくい科学技術の歴史や繋がりを考える視聴覚教材をこの場所に設置することになったのです。左側の男性はコンテンツを制作された業者。
決して、画面の前で躍っているわけではありません。65インチのこの液晶画面はタッチパネルになっており、操作者の関心に応じて、キーボードやマウスを用いずに3次元的な情報を取り扱うことができるようになっています。業者の方はそのデモンストレーションの最中。
初めて目にする関係者は、ご覧のように興味津々(しんしん)という感じ。見かけとはまったく異なり、学問はとても奥が深いのですが、それでも、知──あるいは智慧──への「入口」としての役目は充分果たせるかな。
相応しい名前を考えなくては...。
■3月24日(火) 新入生の到着を、待ちきれなかったらしい... ──キャンパス内の枝垂れ桜が咲き始めました──
今日の天気は、「未明まで雨か雪が残るものの、日中は降らないだろう」との予報。実際、早朝にはところどころ晴れ間も見えていたので、センセイは昨日に引き、続き自転車でご出勤。
...のはずが、ドアを開けた途端、雨。自動車に変更しようかと思ったのですが、室内で5分ほど本を読んで雨をやり過ごしてから、予定通り自転車で出発。
少なくとも今日のセンセイの行動範囲内では雪を確認できませんでしたが、富山市は少し降ったらしい。また高い場所では積もったところもあるようです。
今日は日中も、冬に戻ったかのような寒さでした。白状すると写真は、昨日のお昼前に撮影したもの。今日はこのようには晴れ上がらなかったのです。枝垂れ桜は咲き始め。二分咲きといったところでしょうか。
近くにも2本(1本は昨日の写真の左端)あるのですが、この樹が一番早い。そして最もピンク色が濃い。これを見ると、先日のご紹介した都内の桜の花が真っ白に感じられるほど。加えて、花の色はこの咲き始めの頃が一番濃いように感じられます。
気のせいかもしれませんが。聞くところによると、樹の調子を保ち、花の色を出すために、担当者は樹の周辺の土質や栄養素などを調整しているとのこと。彼らの努力の賜です。
お伝えしたように今日は寒かったので、開花が一気に進むというような状況ではありませんでした。今日は後者から一歩も外に出なかったのですが昨日の時点で、キャンパス内(こちらやこちら)、そして脇を流れる高橋川沿い(こちらやこちら)のソメイヨシノは、その蕾が膨らみ始めたところ。
1日の入学式とオリエンテーションの頃にちょうど見頃となりそう。枝垂れ桜はどうやら、彼ら彼女らを待ちきれなかったようです。
■3月23日(月) 紙のリサイクル作業かと思ったら... ──卒業証書の発送が始まりました──
今日の日中は晴れるものの、夜の始めには雨が降り、明日朝は雪になるとの予報。
降り始める前に帰宅することにして、今日は自転車で出勤しました。やはり自動車は事故が怖いし、健康面、特に血圧を下げるためにも自動車より自転車。それに一時的に閉鎖された駐輪場も最近、かなりの部分が使えるようになったのです。
放置自転車は場内の一角に集められ、そこだけ出入りできないようになっています。仕事をしていると、お昼前から窓の外がうるさくなってきました。何人かの方が作業をしているらしい。いつもは、声で誰が誰かわかるのですが、人物に心当たりがありません。さりとて、学生でもない。
写真はセンセイらの研究室(写真右上)がある場所を撮影したもの。こちらと同じ場所を、斜めに見ています。中央奥にはに自動ドアの出入口と、この建物唯一のエレベーター。重量のある物品を搬入する時や、各部署で出た不要な書類を搬出する時などに使用されます。だから西村センセイ、最初は年度替わりなので不要になった紙をリサイクルする作業をしていると思ったのです。
いつもトラックを写真の位置に止めて、重い紙を積み込むので。所用で学内郵便局へ行くために校舎内を歩いていると、見慣れない光景に出くわしました。たまたまカメラを持っていなかったので撮影はしていません。
そこに存在したのは、写真右奥の、大きな台車の群(むれ)。正式な名称があるのかもしれませんが、センセイは承知していません。大きな、組み立て式の籠に、車が付いています。だからやはり「台車」と言う言葉しか思いつかない。
もちろん物品の輸送用です。最初に気づいたのはそれだけだったのですが、すぐに、作業に従事している方が全員、学外の方であることに気づきました。そして制服には「日本郵便」。
しかも台車の数がやたら多い。何十台です。トロさを増しつつある西村センセイ、やっとここで気づきました。日本郵便にお願いして、大量の荷物を発送しているのです。荷物は大型の紙包み。確かめるまでもありません。卒業証書や記念品です。
お伝えしたように、卒業式は中止になったのです。残念ながら直接手交できないので。台車の数にも驚かされましたが、それを運搬するトラックも凄い数です。ざっと見た限りで、写真と同じサイズの中型トラックが10台くらい揃っていました。学部と大学院を合わせると、卒業生と修了生はざっと1,800名。
彼ら彼女らのためには、やはりこれだけの手間が必要。どうしても幾ばくかの痛みを伴いながらも、季節はかように、そして確実に進んでいきます。
■3月22日(日) 最後の晩餐 ──西村センセイ、(たぶん)人生最後の富山産ホタルイカの塩茹をしみじみと頂く──
「最後の晩餐」といっても、センセイが明日死んでしまうと決まっているわけではありません。ワニじゃないので。
昨晩帰宅すると夕食とは別に、家人が富山産のホタルイカを用意していました。晩酌用です。
近くのスーパー、いつもは他県産だけなのですが時々、富山産が並ぶのです。栄養豊富な富山湾で育ったホタルイカはやはり、肥え具合と甘み、そして旨味が違う。
太り具合の差は、一目見ただけでわかります。去年は記録的な不漁。今シーズンは、少なくとも解禁当初は大漁と聞いています。だから新潟でも販売できるようになったのでしょう。
もちろん有難く頂戴したのですが、「申し訳ないけど...」と切り出します。「これを最後に...」。別に喧嘩を売っているわけではありません。近くのスーパーで販売しているものはあまりに塩分が強いので、キンエン生活にそぐわないのです。
頂いた後に、唇に塩化ナトリウム(NaCl)独特の粘り気のようなものが残ります。いつか...と覚悟していたのですが、ついに「その日」がやって来たようです。
ただし意外なことに、本場富山で茹でたものは塩分が強くありません。だから金沢との往復の間に、買い求める機会はあるだろうと思っています。
「願っている」、かな。