2024年3月9更新(2024年3月17日ページ移動)
■3月9日(土) これが、老いるということか... ──西村センセイ、「フーガの技法」録音に失敗する──
実は、昨日このページを作成後、二つのミスに気づきました。
一つ目は1枚目の写真にあるタイマー録音──昔の言い方なら「留守録」──の終了時刻。FMはライブ演奏を放送する時など、放送開始・終了時刻を割と柔軟に変更します。今回、正しい放送終了時刻は21:10。
これは再チェック中に気づいたので、修正。まぁ、最後はアンコールなので、「フーガの技法」録音に影響はないのですが。ただしもう一つは、かなり深刻な内容。
ページ中で言及したリンク先、つまり僅か4年前の記録を読んでいると、チューナーからのデジタル出力について「・・・“SRC2496”経由──サンプリング周波数およびビット長変換の関係──でOPPO社製“UDP-205”[売却済]に接続」。
...え"っ?!なぜ“SRC2496”を介したんだろう。現在は直結(途中のセレクタは入力を切り替えているだけ)しているなのに、あ"っ...。慌てて書棚からチューナーのマニュアルを取り出し、巻末にある仕様を確認します。
やっぱり...。ちょっと技術的な話になりますが、CDなどで用いられているデジタル音声信号は主に、サンプリング周波数(「量子化周波数」:音を時間軸上で区切る細かさ)とサンプリングビット長(振幅方向の細かさ)で決まります。(ただしそれ以外のデジタル録音方法も存在する)
CDの場合はそれぞれ44.1kHz、16bit。開発当時は、それが大量生産できる限界だったのです。でもその後の半導体技術の進歩などにより、現在は微細な信号も取り扱うことができるようになっています。“T-1100”の場合、48.0kHz、24bit。
それを受けるソフトは192kHzまでの複数のサンプリング周波数に、そしてビット長については24bitまで対応。でもセンセイの場合、他の音源と揃えるため、最近まで44.1/48.0kHz、16bitで揃えてきました。ただし今回、チューナーからの出力は24bit。受け入れ側が16bitなので、両者の整合性を考える必要があります。
買い物にたとえてご説明すると、商品を籠に入れている時は円単位まで細かく計算(24bit)。ところが支払いの段階で、いきなり1万円札を出す(16bit)ようなもの。ただし今回は現実の買い物と違って、お釣りが存在しない。当然、必ず1万円未満の払い過ぎか代金不足、つまり誤差(17bit以下)が発生します。
もちろん、24bitのまま受け入れることができれば、まったく問題ないのです。ただしそれができない場合や、あるいはビットレートを落としたい場合などは、“Dither”(ディザ)という技術を使用。今回はビット長を短くしつつ、誤差をできるだけ小さくします。
その役割を果たしていたのが、ディザ処理の有無を選択できる“SRC2496”。4年前はちゃんと理解していたのです。ところがいつの間にかソースが24bitだということを忘れてしまい、そのまま16bitで録音してしまっていました。これでも録音そのものは問題なく可能なのです。
ただし誤差がある分、どうしても音が不自然に硬くなる。(データビット長が短くなった場合の特徴)かつて16bitに拘っていたのは、長い間保存メディアとしてCD-Rを使っていたため。でも現在はSSDに変更しており、容量もTB(テラバイト)単位と格段に増加しているので、サンプリング周波数やビット長の選択は自由に。
この件については、近日中に改めてご紹介するつもりです。暗澹(あんたん)たる気分に陥りながらも、録音については現実的に対応。受け入れ側のソフトを24bitに設定し直し、録画時間その他を再度確かめてから、飲み会に出かけました。
閉店時刻にお店を追い出され、22:45にご帰宅。入浴後に2階へ上り、機器類を確かめてると、おぉ、ちゃんと録音されています。やれやれ。アンプ類の電源を入れて再生してみると...音が、変。ちょっとというレベルではなく、まったく異常で、正常に聴くことはできません。
ナシテ?!再び気落ちしながら、夜も遅いのでとにかく就寝。今日、改めて再生してみましたが、やはりデジタルノイズだらけ。でも今までこんなことはなかったし、何度点検しても機器類は正常。正直なところ、思い当たる節はない。
一時はNHK側の放送事故を疑ったほど。(後に、濡れ衣と判明)このままでは埒(らち)が明かないので録音データ全体の状況を再確認するとともに、手がかりとなりそうな情報を集めます。写真はその一つ、問題が発生している部分の録音を高速フーリエ解析したもの。
いわゆる周波数アナライザ。小さくてわかりにくいのですが、何度かお伝えしたもの(こちら(横軸(=周波数)はリニア)やこちら)と比べると...おわかりでしょうか。
なお今日、改めてチューナーからのデジタルデータを、整合性を保った上で録音してみました。個人的にはやはりアナログ出力、特にバランス接続が上だと思いますが、デジタル出力も非常に高品位です。
昨日の「・・・[デジタル出力は]残念ながら、アナログ出力より音が硬くなる傾向が」という状況は、センセイが自ら招いたもの。トホホ。
...これが、老いるということなのでしょう。
(気を取り直して)謎解きの旅は続きます。
■3月8日(金) 気分はほぼ、テープレコーダー... ──デジタル時代の「タイマー録音」に初挑戦中です──
今日は予定を変更してお伝えしています。
このページは通常、夜になってから作成に入り、午後10時前後に更新しています。文章が時々酔っぱらっている──すみません──のはそのため。ただし今日のみ、まだ日が高いうちに更新します。
理由は飲み会が入ったから。現役の時は割と、皆と外で飲む機会があったのですが、退職後は1回あったきり。そもそも自宅にいる時は、外で飲む機会はほぼ皆無。小・中学校の同級会で、年に1回ある程度です。しかもコロナ禍で、それすら途切れてしまいました。
それが急に、今晩市内で集まることに。もちろん楽しみにしているのですが、ふと思い出してしまったことが。今晩19:30からNHK・FMで放送されるカザルス弦楽四重奏団の演奏を録音するつもりだった...。お目当てはバッハの「フーガの技法」。(Die Kunst der Fuge, BWV1080)
お伝えしたように楽器の指定はありません。センセイはオルガン版(LPおよびCD)──センセイが生まれた頃の録音──しか持っていません。つまり特定の解釈しか知らないので、今晩の演奏を楽しみにしていたのです。
自宅AVシステムで使用しているのは、アキュフェーズ社製の“T-1100”FM専用チューナー。音質──特にアナログのバランス出力──は非常に良い。昨秋、VHF帯ローバンド用のブースターを導入(こちらやこちら)したので、音質も大幅に向上しています。
アキュフェーズ社の“T-1000”以降のチューナーでは、高周波段以降の信号処理をデジタル化。そのため劣化が極めて少ない48kHz、24bitのデジタルオーディオ信号を出力可能。自宅ではセレクタを介して、その信号をMac miniの1台に接続しています。
残念ながら、アナログ出力より音が硬くなる傾向が。されどAD(アナログ/デジタル)変換に伴う誤差(およびノイズ)と、システムの整合性を考えると、やはりデジタル出力をそのまま録音する方が便利で確実。
信号を受けるソフトは、(株)インターネット社製の“Sound It!”。(現在は主に、Mac用の最新版を使用)録音は無理かなぁ...と半ば諦めかけていた時に思い出したのが、“Sound It!”の「タイマー録音」という機能。説明は不要ですね。
でも今まで、一度も使ったことがない...。それでもと思い、1枚目の写真のようにセットして、試しに録音してみました。見事に数回失敗した──操作がわかりにくい──のですが、それでも何とかテスト録音に成功。
そこで改めて今晩の録音を設定しました。すると、コントロールパネルに“TIMER”の表示が。(2枚目の写真)
ちなみに、この録音のため7台の機器を接続して電源を投入し、ソフトを立ち上げたままで放送開始時刻を待ちます。気分はまるで、アナログ時代の「エア・チェック」。現在ではほぼ完全に死語なので、若い方は何のことだかさっぱりわからないと思います。
でも、ま、いいんです。さて今晩の、バッハの遺作「フーガの技法」、果たしてどうなる?!
■3月7日(木) イギリスでお世話になったパンダが、雪で(?)ちょっと大変なことになっていた
いえいえ、動物のパンダではありません。そもそも、イギリスにパンダはいるのかなぁ...。
明日の朝は関東地方でも雪との予報。一部のJR線はすでに、朝の時間帯の運休が発表されています。当地もこのところ寒い日ばかりで、5日連続で朝は白くなりました。でもそこはやはり、春の雪。
お伝えしているように、お昼頃になれば少なくとも道路にほとんど残りません。そんなお昼に歩いている時、目に飛び込んできたのが写真の「パンダ」。イタリア・フィアット社の小型車です。西村センセイ、個人的にはパンダに親しみが。
というのは2002年の夏にイギリスへ行った時、ずいぶんお世話になったので。その時はヒースロー空港(ロンドン)で赤いパンダを借りて、オックスフォードそしてニュートンの生家があるスールスソープ(グランサムの近く)まで、イギリスに研究滞在中の旧友、M先生と交替しながら運転。
イギリスは左側通行の右ハンドル、そして何よりMT車なので、何とか運転できました。ただしウィンカーとワイパーが左右逆。最初はお約束の「ウィンカーを出そうとしてワイパーを...」を、何回かやらかしてしまいました。
でも、もしかするとその時の経験が今のBMWに繋がっているのかも。交差点のラウンドアバウトは慣れずに大変だったし、何より猛暑なのにエアコンがないので水ばかり飲んでいました。でも、パンダそのものは運転しやすい車。
ネガティブな記憶はまったくありません。だからか、帰国後もパンダを見かけるたびに、ちょっとうれしくなってしまうのです。実は数ヶ月前、ちょっと離れたところにあるお宅でこのパンダを見かけました。このお宅は、3台の自動車を乗り分けていらっしゃるらしい。
アウディのSUVと国産車、そしてこのパンダ。パンダ、どうやらふだんは後方の車庫に収納されていた──だから気づかなかった──ようなのです。それがここ2週間ほど、車庫前のこの位置に。ただしその時、特に不自然な感じはなかったのです。
でも今回、パンダの前を通ると、おぉ、ワイパーは雪の中に...。もちろん、この程度の雪でワイパーが壊れたとは思いませんが、パンダのワイパーは1本だけ。運転はほぼ不可能です。それより何より、ちょっと嫌な予感が。もちろん外れることを願っていますが...。
パンダ、ちょっと気になります。
■3月6日(水) 「こなす」のではなく、旅を味わいたいので... ──遠すぎた「ドジャース食堂」──
予定を変更──理由は後述──して、今日も鉄道ネタを。
白状すると迷った末、以前お伝えした「キュンパス」こと「旅せよ平日! JR東日本たびキュン早割パス」をセンセイも購入していたのです。目指す経路は羽越本線で秋田まで出て、ホントに久しぶりの田沢湖線に乗車。
秋田、上越新幹線を乗り継いで日帰りする。目的は食い気と鉄分補給。前者に関しては「ドジャース食堂」を5年ぶりに訪れたい。ついでに秋田駅で高齢者の土産用に「いぶりがっこ」を購入。後者に関しては経路に沿い、時間順にご説明を。
当日、センセイは始発ではないものの、早い列車で長岡駅へ。そこで「とき481号」の自由席──「キュンパス」は特急自由席乗り放題──に乗り、新潟駅に7:49到着。8:22(5番線発)の「いなほ1号」に乗車。この後の列車を考えて、「いなほ」は自由席に。
「いなほ」(E653系1000番台。7両編成)の自由席は、5号車から7号車の3両。最後尾の7号車のみ「クハE653」、つまりモーターを搭載しない静かな車両なので、その一番良い席に座る。晴れていれば左側(=西側)の「笹川流れ」など、日本海を愛(め)でることができる席に。
倖い(!!)にも曇っていたら、右側の席へ。羽越本線、実は単線と複線が複雑に組みあわされているため、その様子や廃トンネル──というか、未使用のまま放棄された──など、見どころが多いのです。いずれにせよ北に向かうので、陽射しに過敏になる必要はないのですが。
秋田には11:57到着。接続の良い秋田新幹線もあるのですが、ここは心を鬼にして1本見送り、「ドジャース食堂」へ。偉そうなことを言っていても、やはり、食い気には勝てない。「いぶりがっこ」とビールを購入して田沢湖線、県境付近の厳しい地形を抜ける。
今回のポイントは、特急「いなほ」の乗り方。状況に応じて席を選べるところが自由席のメリット。同時に、「キュンパス」の座席指定は2回まで。センセイの場合、秋田、上越新幹線を乗り継ぐ関係で、ここで指定券を発券。
「ドジャース食堂」に立ち寄る分、帰宅が1時間半ほど遅くなることを除けば、完璧だ...。というわけで乗車券「キュンパス」はもちろん、新幹線の指定席券も最上の席を確保。後は当日を待つだけ...と思っていたら妙なことに。
先月下旬に知ったのですが、この「キュンパス」が大人気とのこと...やっぱり。都内から秋田まで同じ行程の方のレポートも。う〜ん、ちょっと困ったことになった...と書くと、「自由席の良い席を確保できないからでは」と思われるかもしれません。
申し訳ありませんが、センセイは間違いなく最も良い席に座っています。このような場合、最重要視すべきは根性ではなく、客観的な人の動き。特にふだんと違う状況下では、偏見や思い込みを持たずに広い目で客観的に状況を把握することが求められます。
それが露骨な形で現れてしまうのが、災害の場面。2018年の「胆振東部地震」の際、北海道に滞在していた本州からの観光客が、東京などの大都市に直接帰ろうとして新千歳空港に殺到。狭く、環境がどんどん悪化する空港内で、最悪の場合は数日間を過ごしました。
申し訳ないのですが、これは賢明な判断ではありません。仮に空港に行くという選択をした──それ以外にも、たとえば海路もある──としても、人々は羽田などの便に集中します。でも実は、何とかして本州に入りさえすれば、後は何とでもなるのです。
実際、センセイが予約した上で搭乗した新潟便や小松便には空席も。今回も同様。おそらくJR東日本も想定外のヒットとなった「キュンパス」、一番大きな人の流れは首都圏からの利用客。彼ら彼女らは東京発6:08の「とき301号」に乗車し、新潟駅の11番線に8:10到着。
「いなほ1号」はすでに、隣接する在来5番線に入線済。(センセイも良い席に着席済)実に乗り換えが良いので、センセイが何を問題視しているのか不思議に思われる方がいらっしゃると思います。2枚目の写真は当日の「いなほ1号」指定席(2、3号車)の指定席券販売状況。
見事なまでに、ほぼ売り切れです。東京からの「とき301号」も窓側の席はほぼ埋まっていました。また「いなほ1号」秋田到着後、約40分の待ち時間で出発する青森行きの「つがる3号」もほぼ満席。
状況を理解した上で乗車されるのなら問題ないのです。「キュンパス」そのものを批判しているわけじゃないし。
3月12日の朝、新潟駅で何が起きるかというと、始発の新幹線を降りた乗客が「在来線はどこ?」──実際は隣のホーム──と右往左往し、続いて自由席車両を求めて乗車口に押し寄せる。
その結果、自由席車両内の通路を疲れた表情の乗客が埋め尽くすという年末年始、お盆並みの混雑具合に。
ある意味、このような「旅」は、お祭りのようなもの。センセイだって若い時は、それなりに「楽しんだ」し。でも、今のセンセイはただの無職の老人。
年老いた現在、センセイが味わいたいのは北陸本線・山陰ツアーのような、旅。というわけで先日、泣く泣く乗車券類をすべてキャンセルしました。トホホ。
そこに今朝、飛び込んできたのが、郡山駅での山形新幹線「つばさ121号」のオーバーラン。ニュースで「専門家」と称する人物が「雪でスリップ...」などと解説していましたが実は、ほぼ的はずれ。
現時点でのJRの説明通り、「原因不明」が適切。列車の安全を確保するブレーキなどの機構、そして何より信号制御の面からすると冗談抜きで、極めて深刻な事案。何しろ何重にも構築されていた安全システムを、ことごとく突破されてしまったのですから。
正直なところ、郡山駅に進入する動画とたまたま居合わせて撮影していたファンの写真を見て、あのスピードを保ったままで側線に入ったのに、良く脱線しなかった──この点は評価すべき──なぁ...と感じました。
鉄道関係者はみな、背筋が凍りついているはず。まさに僥倖(ぎょうこう)。怪我人はもちろん最悪の場合、犠牲者すら発生しかねない状況だった可能性が。
今日は平日。つまり多数の「キュンパス」の利用客がJR東日本管内を移動している最中に発生したこの事象。予約していた列車の運休などで、大きな影響を受けた人は数万人単位に及ぶはず。
もはや三流国入り──実際は、それ以下? ──は、甘受(かんじゅ)するしかない。でも、もしかすると、この国の劣化は想定以上のスピードで進んでいるのかも。
■3月5日(火) たかが「きっぷ入れ」。されど... ──山陰を訪れたセンセイが、ほっとする理由──
北陸本線・山陰ツアー最終回。ただし本質的には、鉄道の話題ではありません。
1枚目の写真は初日に訪れた米子駅の出札口。今回の旅は基本的に「連続きっぷ」。できるだけ長い距離に乗った上で、既に通過した駅に戻たところで最初の乗車券は無効に。そこから先は、別な乗車券を購入。
数字の「6」のイメージです。そのため今回用意した乗車券は北陸から山陰に抜けた後、岡山までが1枚の乗車券。そこから出発地まで戻る区間が2枚目。どこで切るかによって料金も変わるのですが、今回は駅員の趣味でそうなりました。
センスの問題なので、その判断そのものに異議はほとんどありません。でも今回、実際には宍道(しんじ)の先、出雲市まで足を伸ばしています。だから本当は「柏崎→北陸・山陰→出雲市」と「出雲市→山陽・高山→柏崎」の2枚にすべきだったのです。この点については、純粋に反省。
それはともかく、宍道─出雲市間の乗車券がないので、この米子駅で発券していただきました。最初から適切に出雲市まで購入していれば「長距離逓減(ていげん)制」で、たぶん無料だったのですが。
受験そして卒業シーズンだからでしょう、窓口の脇には受験生を励ますべく、手描きのかわいいイラストが入った色紙が掲げられ、手前には誰でも書き込めるメッセージカードが。
カードの上部には「米 駅」と印刷されています。近づいて良く見ると、中央の空白に「子」と書くことで「“子(ご)”を書く=合格」なのだそうです。う〜ん、ちょっと厳しいかも。島根ですから、色紙で上手に作られた鳥居も。
...え"っ?!センセイが驚かされたのは鳥居の左。購入した乗車券類を収める「きっぷ入れ」が無造作に置かれています。「駅なのだから、当たり前だろう」って?
いえいえ、全然違います。2枚目の写真は、現在の柏崎駅の出札口。後でお伝えするつもりですが先日、しょぼんとした気持ちで訪れた時の様子。中央のオレンジ色、そして右側の紫色の掲示に、きっぷ入れと時刻表の配布を廃止した旨が記されています。
直接にはその作成その他に要する費用の削減。ただし、それで実際に削減される額は微々たるもの。
その背後にあるのはむしろ、紙の乗車券類を可能な限り廃止し、電子化すること。これによって発券や車内での検札など、人件費などが大きく軽減されるはず。
実際、JR各社は出札口つまり「みどりの窓口」をどんどん廃止しています。当然、センセイのような高齢者は対応できない場合が。そのためJR各社は、たとえば音声で対応できる「話せる指定席販売機」などを導入。
先日ご紹介した列車の全席指定席化も、この一環。既に、指定席車両内での検札はほとんど、タブレットを用いた電子的な検札になっています。(つまり、乗客からすると検札はない)
メリットが多いため、航空、船舶などを含めて、電子化の動きは顕著。ただし一部繰り返しになりますが、そこから取り残される人々も。指定席券を発行してもらうため、わざわざ離れた駅まで行かざるを得ない人々。
そして何らかの事情で乗車券類を変更せざるを得ず、「みどりの窓口」に並ぶ人々の長い列。今回も行く先々で、嫌というほど目にしました。
センセイが初めて山陰地方を訪れたのは2000年の秋。その時の米子駅──当時は地上駅だった──のことは良く覚えています。そこまでの山陰本線の印象が強かったことも影響しているはず。
当時の日本はバブル崩壊後約10年──しかもその後、さらに20年近く続くことに──が経過し、明るい材料は皆無。世の中は、とにかくコスト削減の波。人々、特に相対的に弱い人々の立場は極めて厳しい状況に置かれていました。まぁ、現在もほとんど変わらないのですが。当時、個人的にもいろいろある中で訪れた山陰。
その時、米子駅で強く感じたのは、居心地の良さ。直接には当地のJR西日本の、国鉄時代を想起させる雰囲気によるものだったのです。しかしその背後には、間違いなく山陰地方の状況があるはず...と、書くと、「貧しい」というイメージが先行してしまうかもしれません。
で実際はほぼ真逆。(なお、国鉄時代を礼賛(らいさん)しているわけではありませんので、誤解なきよう)今回、木次(きすき)線で強く感じたことが。山陰地方や福井、能登、そして富山の東半分などはやはり、いろいろな意味での「含み資産」──決して、お金だけを言っているのではありません──が多い。
もちろん、その魅力をいかに対外的に発信するかで悩まれていることも事実なのですが。この感覚が次に当てはまるのは東北地方の日本海側。そして、かなり変質する部分はあるものの、北海道。なんだ、センセイが足繁く通っている場所じゃないか。ただし北陸、特に金沢近辺はちょっと違う。
早めに退職した理由は意外に、こんなところにあったりして。センセイにとって、まるで故郷に帰ったような、このくつろぐ感覚。
■3月4日(月) 「その後」を、どうするんだろう... ──敦賀駅は特急用に、新在来線とホームを新設──
もう少しだけ北陸本線・山陰ツアーの話題を。
写真は1日目、つまり京都、山陰に向けて特急「サンダーバード」乗車時に撮影したもの。逆光だということもあり、ちょっとわかりにくいのですが、完成した敦賀駅の新幹線駅舎(中央左奥)です。
敦賀駅を訪れたのは2年ぶり。敦賀は周囲を山に囲まれ、湾に面しています。駅はその平地東端に位置しているため、駅前後の北陸本線はそれなりの標高。金沢からだと険しい山々を長い北陸トンネルを抜けた途端に敦賀、そして発車後はすぐに鳩原(はつはら)ループで高度を稼ぐという具合。
北陸新幹線も同様なのですが、こちらは別な問題が。旧北陸本線跡を利用して北陸自動車道が建設されているため、何らかの方法で在来線と高速道路を越えなければならないのです。結論から言うと、高架で両者を跨ぐことに。
ただし鉄道ですから、急に高さを下げるわけにはいかない。その結果、敦賀駅の新幹線駅舎やホームは相当な高さ。数階建てのビルに相当するんじゃないかと思います。加えて地形の関係で、在来線駅舎とかなり離れています。
「乗り換えには20分くらいかかるだろうなぁ...」というのが、前回見た時の印象。ところが最近になって知ったのですが、JR西日本による乗り換え所要時間の想定は僅か8分。絶対、無理...と思ったのですが、続けて、乗り換えには「新幹線から在来線へ階を移動...」。
最初は旧在来線ホームのことかと思ったのですが、どうやら乗り換え専用のホームを新設するらしい。ちなみに、最新号の時刻表には敦賀駅の構内案内図が掲載されています。
というわけで敦賀駅発車後、注意して観察していると確かに、最上階の新幹線ホームの下に在来線ホームが存在。さらに南へ進むと、ご覧のように新設された在来線が相当な下り勾配で迫ってきます。
乗り換え用の特急のためだけに建設された新線。何(十)年後になるのかはわかりませんが、北陸新幹線はさらに京都まで延伸される見込み。そうなれば関西と北陸を結ぶ特急「サンダーバード」は確実に廃止。中京圏を結ぶ「しらさぎ」も存続は困難。
つまりこの新線を走る列車は、たぶん存在しない。「その後」を、どうするつもりなんだろう。
まぁ、それを言い出したら、かつての特急「はくたか」運行が終了し、稼ぎ頭を失った北越急行線は、そのさらに上。
新潟県の直江津からここ敦賀までの在来線だって、同じようなもの──ただしこれらの区間は貨物列車が走るため、廃止できない──なのですが...。
■3月3日(日) 雪中梅ならぬ雪の中の桜。残った蕾はまるで咲いていいかどうか、迷っているかのよう
今日は予定を変更して、タイトル通りのお話を。
当地はこのところ真冬に戻ったかのような天気。昨日と今日は少し雪が積もりました。特に今朝は1月下旬の気温にまで冷え込んだため、朝は裏の道を自動車が通るたび「バリバリ」という音がしたほど。
ただし地表はそれなりに暖められています。昨日、お昼に外出した際、道路に雪はほとんど残っていませんでした。さすがに今朝はそこまでではありませんでしたが、外出できないわけではない。
買い物のついでに、1週間前にお伝えした早咲きの桜の、その後の様子を見ることに。お伝えしたように桜並木は、「よしやぶ川」(写真左)に沿って植えられています。といっても、現在は味気のない鋼矢板(こうやいた)を打ち込んで川にしているもの。
川の脇にアスファルト舗装の細い歩道があり、桜はそのさらに外側の、雪が残った土手の上に。経路の関係で、川下の方から木々の様子を確かめてみると、生長した木の蕾は少し膨らんで赤くなっているものの、割と揃ってしっかりと硬いまま。
先日の桜とその前の木は、若い低木。オトナへの入口で、ちょっとバランスを崩しているのかも。それはともかく前回の桜の木へ。ご覧のように、木全体では数輪咲いてはいたのです。
でもどうやら散り始めるところらしい。(というわけで今回、拡大写真は省略)残った蕾(つぼみ)はというと、ご覧のように生長の段階がそれぞれバラバラ。硬く絞まったままのものもあれば、何とか開花直前まで漕ぎ着けたのに、予想外のこの寒さに戸惑っている(?)かのような蕾も。
まぁ、そりゃ、そうでしょう。今回のツアー、被災地はほぼ素通り。同じ日本海側のはずなのに鳥取や島根では、予想外にあちこちで花を見かけました。色からして梅だろうと思いますが、中には満開に近いような梅の木も。
やはり本格的な春は近い。現状が厳しからこそ希望を託して、そう考えたくなるのかもしれませんが。